コラム「【保存版】中小企業もAI利用ルールは必要?ChatGPT時代に企業が整備しておきたいAI利用規程とは(第4回)」

はじめに

ChatGPTをはじめとする生成AIは、今や特別なツールではありません。

契約書の作成や議事録の要約、メールの作成、資料作成など、さまざまな業務で活用されるようになり、多くの企業で「業務の効率化」を支える存在となっています。

一方で、

「社員が顧客情報をAIへ入力してしまった。」

「契約書をそのままAIへ読み込ませていた。」

「会社としてAIの利用ルールを決めていない。」

このようなケースも少なくありません。

便利だからこそ、使い方を誤ると、

  • 情報漏えい
  • 著作権侵害
  • 個人情報保護法上の問題
  • 取引先との信用低下

などにつながる可能性があります。

そのため、企業規模を問わず、AIを業務で利用するのであれば、一定のルールを整備しておくことが重要です。

本コラムでは、中小企業でも実践しやすいAI利用ルール(AI利用規程)の考え方について解説します。


AI利用規程とは?

AI利用規程とは、社員が業務で生成AIを利用する際のルールを定めた社内規程やガイドラインです。

難しい内容である必要はありません。

大切なのは、

「どのようなAIを、どのような目的で、どのようなルールの下で利用するか」

を社内で共通認識にすることです。

AIを導入している企業だけでなく、社員が個人のアカウントでAIを利用している場合にも、一定のルールを設けておくことをおすすめします。


AI利用規程が必要な5つの理由

① 情報漏えいを防ぐため

最も重要なのは、情報管理です。

例えば、社員が

  • 契約書
  • 顧客名簿
  • 見積書
  • 未公開の商品情報
  • 社内会議資料

などをそのままAIへ入力してしまうと、会社の重要な情報が外部サービスに送信される可能性があります。

利用するAIサービスによってデータの取扱いは異なるため、「どの情報なら入力できるのか」を明確にしておく必要があります。


② 個人情報を適切に保護するため

顧客や従業員の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報をAIへ入力すると、個人情報保護の観点から問題となる場合があります。

特に、

  • 顧客相談
  • 人事労務
  • 医療
  • 福祉
  • 士業

などの分野では、慎重な取扱いが求められます。


③ AIの回答を過信しないため

生成AIは非常に自然な文章を作成できます。

しかし、

  • 法律
  • 税務
  • 会計
  • 労務

などでは、誤った内容や不正確な情報が含まれることがあります。

そのため、

「AIが作成した内容は、人が必ず確認する」

というルールを設けることが重要です。


④ 著作権・知的財産権のリスクに対応するため

AIが作成した文章や画像については、利用方法によって著作権などの問題が生じる可能性があります。

例えば、

  • ホームページの記事
  • チラシ
  • 広告
  • プレゼン資料

などをAIで作成する場合には、第三者の権利を侵害しないよう注意が必要です。


⑤ 社員による利用方法を統一するため

部署や担当者ごとにAIの使い方が異なると、情報管理や品質管理が難しくなります。

利用できるAIサービスや利用目的を一定程度統一することで、業務の効率化とリスク管理を両立しやすくなります。


AI利用規程で定めておきたい項目

会社の規模や業種によって内容は異なりますが、一般的には次のような項目を定めるとよいでしょう。

項目内容の例
利用目的業務効率化、文章作成、情報整理など
利用できるAI会社が承認したAIサービス
入力禁止情報個人情報、営業秘密、契約書原本など
利用時の確認AIの回答は必ず人が確認する
著作権第三者の権利侵害がないか確認する
情報管理利用履歴やアクセス権限の管理
教育定期的な社内研修の実施

「細かなルールを作る」ことよりも、「社員が理解し、実践できるルール」にすることが重要です。


中小企業がまず取り組みたい5つのポイント

AI利用規程を一度に完璧なものへする必要はありません。

まずは、次の5つを決めるだけでも大きな前進です。

  • 利用できるAIサービスを決める
  • 入力してはいけない情報を明確にする
  • AIの回答は必ず人が確認する
  • 重要な契約や対外文書は責任者が確認する
  • 定期的にルールを見直す

AI利用規程は「禁止するため」ではなく「安心して活用するため」

「AI利用規程を作ると、社員がAIを使いにくくなるのではないか」と心配されることがあります。

しかし、本来の目的は逆です。

ルールを整備することで、

  • 社員が安心してAIを利用できる
  • 情報漏えいを防げる
  • 品質を保ちながら業務を効率化できる

というメリットがあります。

AIを禁止するのではなく、「安全に活用するためのルール」を作ることが重要です。


よくある質問(Q&A)

Q 従業員が数名しかいない会社でもAI利用規程は必要ですか?

はい。会社の規模にかかわらず、顧客情報や営業秘密を取り扱う場合には、簡易なガイドラインでも整備しておくことをおすすめします。

Q 就業規則に追加する必要がありますか?

会社の運用によって異なります。就業規則の一部として定める方法もあれば、AI利用ガイドラインとして別に整備する方法もあります。

Q AI利用規程は一度作れば十分ですか?

いいえ。生成AIは急速に進化しており、利用方法やサービス内容も変化しています。定期的に見直しを行うことが重要です。


まとめ

生成AIは、企業の業務効率化に大きく貢献する一方で、情報管理や法的リスクにも十分な注意が必要です。

AI利用規程は、社員を縛るためのものではなく、企業が安心してAIを活用するためのルールです。

会社の実情に合ったルールを整備し、AIのメリットを最大限に活かしながらリスクを抑えることが、これからの企業経営には欠かせません。

結の杜総合法律事務所へご相談ください

結の杜総合法律事務所では、契約書の作成・レビューだけでなく、企業のAI利用ガイドラインや社内規程の整備、情報管理体制の構築に関するご相談にも対応しています。

また、代表弁護士は税理士資格を有し、税理士事務所を併設しているため、法務と税務の両面から企業のAI活用をサポートしています。

「AIを導入したいが、どのようなルールを作ればよいか分からない」「自社の実情に合ったAI利用規程を整備したい」とお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。


次回予告

第5回では、「AI時代だからこそ顧問弁護士が企業に必要とされる理由」をテーマに、AIでは代替できない弁護士の役割や、顧問契約が企業経営にもたらすメリットについて解説します。

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