コラム:「自動車運転処罰法」をご存知ですか?

先日,東京・池袋の歩道に車が突っ込み,8人が死傷するという事件が発生しました。

報道によれば,この事件の容疑者の男は,運転前に「脱法ハーブ」を吸引していたとのことで,警察は,それが原因で運転が困難な状態になったとみて,その男を自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)容疑で送検したとのことです。

 

「自動車運転処罰法」(正式名称は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)

あまり聞きなれない方も多いと思いますが,この法律は,悪質で危険な運転者に対する厳罰化のため,従来刑法に定められていた危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪を移行,改正し,制定されたもので,平成26年5月20日より施行されました。

 

改正点はいくつかありますが,危険運転致死傷罪について言えば,従来の危険運転致死傷罪では,これまで飲酒運転や薬物の影響による悪質な運転で死傷事故を起こしても,「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」であることが要件とされ,その立証が困難であったことから,適用が見送られるケースがありました(この場合,自動車運転過失致死傷罪を適用)。

 

しかし,自動車運転処罰法では,これまでの危険運転致死傷罪に加え,新しい危険運転致死傷罪を設け,適用要件を「アルコール又は薬物の影響により,その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」と緩めて,処罰範囲を拡大しました。

また,この新しい危険運転致死傷罪は,最高刑が懲役7年だった従来の自動車運転過失致死傷罪に比べ,最高刑は懲役15年となっており,非常に重く処罰されることとなっています。

 

ここで述べたもの以外にも改正点はありますが,このような厳罰化が,悪質・危険な運転に対する抑止となることを願ってやみません。

 

 

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