コラム「契約不適合責任とは?不動産・売買トラブルで問題になるケースや対処法を弁護士が解説」

1 契約不適合責任とは?

「購入した建物に雨漏りが見つかった」
「中古車に重大な故障があった」
「納品された商品が契約内容と違っていた」
このような場合に問題となるのが、「契約不適合責任」です。

令和2年施行の改正民法では、従来の「瑕疵担保責任」という制度が廃止され、「契約不適合責任」という制度に改められました。

契約不適合責任とは、売買などの契約において、引き渡された目的物が契約内容に適合していない場合に、売主が負う責任をいいます。

例えば、以下のようなケースが典型例です。

  • 中古住宅に重大な雨漏り・シロアリ被害があった
  • 土地に説明されていない土壌汚染があった
  • 機械設備が契約仕様を満たしていなかった
  • 数量不足の商品が納品された
  • 事故歴を隠して中古車が販売された
  • 心理的瑕疵(事故物件)について説明がなかった

特に、不動産売買・企業間取引・中古品売買・建築トラブルなどで問題になることが多く、適切な対応を怠ると大きな損害につながる可能性があります。

2 改正民法で何が変わったのか?

改正前の民法では、「隠れた瑕疵」があることが責任追及の要件でした。

しかし、改正後は「契約内容に適合しているか」が重視されるようになりました。

つまり、

  • 契約書
  • 仕様書
  • 説明内容
  • 当事者間の合意
  • 取引上通常期待される品質

などから判断して、「契約どおりかどうか」が重要になります。

そのため、売主側・買主側の双方において、契約書の内容や事前説明の重要性がこれまで以上に高まっています。

3 契約不適合責任で買主が請求できること

契約不適合がある場合、買主は売主に対して、主に次のような請求を行うことができます。

⑴ 追完請求(修補・交換・不足分の引渡し)

買主は、売主に対して、

  • 修理
  • 修補
  • 代替品の引渡し
  • 不足数量の追加納品

などを求めることができます(民法562条)。

例えば、

  • 雨漏り修理
  • 故障部品の交換
  • 不足商品の追加納品

などが典型例です。

もっとも、買主側に原因がある場合には、追完請求が認められないことがあります。

⑵ 代金減額請求

契約不適合がある場合、買主は代金の減額を請求できます(民法563条)。

例えば、

  • 修理不能な欠陥がある
  • 契約品質を満たしていない
  • 説明された性能がない

などの場合です。

ただし、原則として、まずは売主に対して修補等を求め、それでも対応されない場合に代金減額請求が認められます。

⑶ 損害賠償請求

契約不適合によって損害を受けた場合、買主は損害賠償請求をすることができます(民法415条)。

例えば、

  • 修理費
  • 営業損害
  • 代替商品の調達費用
  • 仮移転費用
  • 逸失利益

などが問題となります。

企業間取引では損害額が高額化するケースも少なくありません。

⑷ 契約解除

契約不適合が重大である場合には、契約解除が認められることがあります(民法541条・542条)。

例えば、

  • 建物に重大な構造欠陥がある
  • 商品としての利用価値がない
  • 契約目的を達成できない

といったケースです。

解除が認められると、原則として契約はなかったことになり、代金返還等の問題が生じます。

4 契約不適合責任が問題になりやすいケース

⑴ 不動産売買

最も紛争が多い分野の一つです。

特に、

  • 雨漏り
  • シロアリ
  • 地盤沈下
  • 土壌汚染
  • 境界問題
  • 越境
  • 心理的瑕疵(事故物件)

などが頻繁に問題となります。

中古住宅売買では、「現状有姿」「契約不適合責任免責」といった条項が設けられていることも多く、契約内容の確認が極めて重要です。

⑵ 中古車売買

  • メーター改ざん
  • 修復歴隠し
  • エンジン故障
  • 水没歴

などが問題となることがあります。

⑶ 企業間取引

企業法務では、

  • システム開発
  • 機械設備
  • 製造委託
  • 部品供給
  • OEM契約

などで契約不適合責任が争われることがあります。

企業間では、契約書の定め方によって責任範囲が大きく変わるため、事前のリーガルチェックが重要です。

5 契約不適合責任には期間制限がある

契約不適合責任には注意すべき期間制限があります。

民法566条では、買主は、不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければならないとされています。

例えば、

  • 「あとで言えばいい」
  • 「様子を見よう」

と対応を先延ばしにしていると、権利行使ができなくなる可能性があります。

特に不動産や企業取引では、初動対応が極めて重要です。

6 免責特約があっても責任追及できる場合がある

契約書に、

  • 「現状有姿」
  • 「契約不適合責任を負わない」
  • 「一切保証しない」

などの条項がある場合でも、常に責任追及ができなくなるわけではありません。

例えば、

  • 売主が欠陥を知っていた
  • 故意に説明しなかった
  • 重大な過失がある
  • 消費者契約法に違反する

といった場合には、免責条項が無効になる可能性があります。

特に不動産売買では、売主側の説明義務違反が争点となるケースが多くあります。

7 契約不適合責任トラブルで弁護士に相談するメリット

契約不適合の問題では、

  • 契約書の内容
  • 事前説明
  • メールやLINEのやり取り
  • 見積書・仕様書
  • 不具合の原因
  • 損害額

などを総合的に検討する必要があります。

また、

  • 通知方法を誤る
  • 不適切な対応をする
  • 証拠を残していない

と、不利になることがあります。

弁護士に早期相談することで、

  • 請求可能性の見通し
  • 損害額の整理
  • 相手方との交渉
  • 訴訟対応
  • 契約書の確認

などについて、適切なアドバイスを受けることができます。

8 よくあるご相談

Q 中古住宅購入後に雨漏りが見つかりました。請求できますか?

契約内容や免責条項の有無、売主の説明内容等によりますが、契約不適合責任を追及できる可能性があります。早めに証拠保全と通知を行うことが重要です。

Q 「現状有姿」と書かれていると請求できませんか?

必ずしもそうではありません。売主が不具合を知っていた場合などには、免責が認められない可能性があります。

Q 企業間契約でも契約不適合責任は問題になりますか?

はい。システム開発、製造委託、設備導入など、企業間取引でも頻繁に問題になります。契約書の作成段階から注意が必要です。

9 まとめ

契約不適合責任は、不動産売買、企業取引、中古品売買など幅広い場面で問題となります。

特に、

  • 契約書の内容
  • 通知期限
  • 証拠保全
  • 免責条項
  • 損害額

などが重要な争点になります。

対応を誤ると、本来請求できたはずの権利を失うこともあるため、早期の法的検討が重要です。

弁護士法人結の杜総合法律事務所では、

  • 契約不適合責任に関する交渉
  • 不動産売買トラブル
  • 企業間契約紛争
  • 損害賠償請求
  • 契約書チェック

などについて幅広く対応しております。

「契約不適合責任を追及したい」
「売主側として請求を受けている」
「契約書の内容に不安がある」

という方は、お早めにご相談ください。

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