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1 はじめに
「勤務態度が悪い社員がいる」
「注意しても改善しない」
「他の従業員への悪影響が大きい」
「解雇したいが、違法にならないか不安」
このような“問題社員対応”に悩む経営者の方は少なくありません。
もっとも、日本の労働法では、会社が従業員を自由に解雇することはできず、対応を誤ると、
- 不当解雇
- 労働審判
- 未払賃金請求
- 損害賠償請求
などの深刻な法的トラブルに発展することがあります。
特に近年は、
- 問題社員対応
- ハラスメント対応
- 解雇トラブル
- 退職勧奨
に関するご相談が、仙台・宮城でも増加傾向にあります。
そこで今回は、問題社員を辞めさせる際に企業側が注意すべきポイントについて、弁護士がわかりやすく解説します。
2 そもそも「問題社員」とは?
一般的には、以下のようなケースが問題となることが多いです。
よくある問題社員の例
- 無断欠勤や遅刻を繰り返す
- 指示に従わない
- 協調性がなく職場トラブルを起こす
- パワハラ・セクハラを行う
- SNSで会社の信用を毀損する
- 顧客対応で重大クレームを発生させる
- 業務能力不足により重大な支障が出ている
- 横領・経費不正等の不正行為を行う
もっとも、「扱いづらい社員」であるというだけでは、直ちに解雇できるわけではありません。
3 問題社員をすぐ解雇できるわけではない
労働契約法16条は、次のように定めています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする。」
つまり、会社側が「辞めてほしい」と思っていても、
- 客観的合理的理由
- 社会通念上の相当性
が認められなければ、解雇は無効になる可能性があります。
解雇無効となりやすいケース
- 注意指導をしていない
- 改善機会を与えていない
- 証拠が残っていない
- 就業規則に根拠規定がない
- 感情的に解雇した
- 他社員との処分バランスが取れていない
そのため、問題社員対応では、“段階的対応”が極めて重要になります。
4 まず重要なのは「証拠化」
問題社員対応で最も重要なのは、問題行為を客観的証拠として残すことです。
記録しておくべきもの
- 遅刻・欠勤記録
- 注意指導記録
- 始末書
- クレーム内容
- メール・チャット
- 録音
- 業務日報
- ハラスメント申告
後に労働審判や訴訟になった場合、会社側は、
「どのような問題があり、どのような指導をしたか」
を証明しなければなりません。
「口頭で何度も注意した」は、証拠がないため争いになりやすいのです。
5 問題社員対応の基本的な流れ
⑴ 注意・指導
まずは問題行為について具体的に指導します。
単に、
- 「ちゃんとやれ」
- 「態度を改めろ」
では不十分です。
- 何が問題か
- どう改善すべきか
- 改善しない場合どうなるか
を明確に伝える必要があります。
⑵ 書面による警告
改善が見られない場合、
- 注意書
- 警告書
- 始末書提出
などを行います。
この段階で、
「改善が見られない場合、懲戒処分等の対象となる可能性があります」
と明記することが重要です。
⑶ 配置転換・降格等の検討
能力不足型の問題社員の場合、
- 配置転換
- 業務内容変更
- 教育指導
などを検討することも重要です。
裁判では、
「会社が改善努力を尽くしたか」
が重視される傾向があります。
⑷ 退職勧奨
実務上、多く利用されるのが「退職勧奨」です。
退職勧奨とは、会社が従業員に対し、自主的な退職を促すことをいいます。
合意退職となれば、解雇より紛争リスクを抑えやすくなります。
もっとも、
- 長時間叱責
- 執拗な呼び出し
- 威圧的言動
- 退職届の強要
などは、違法な退職強要となる可能性があります。
6 問題社員を解雇する場合の注意点
⑴ 懲戒解雇
横領、重大ハラスメント、経歴詐称等の重大な規律違反が対象となります。
ただし、懲戒解雇は非常に重い処分であり、
- 就業規則上の根拠
- 適正手続
- 処分相当性
が厳しく判断されます。
⑵ 普通解雇
能力不足や勤務態度不良等が問題となります。
もっとも、日本では能力不足解雇のハードルは高く、
- 指導
- 教育
- 改善機会付与
を十分に行っているかが重要になります。
7 会社がやってはいけない対応
以下のような対応は、法的トラブルにつながる可能性があります。
NG例
- 感情的に「明日から来なくていい」と言う
- LINEだけで解雇通知する
- 退職届を強引に書かせる
- 自主退職に追い込む
- 仕事を与えず隔離する
- 社内で晒し者にする
- パワハラ的叱責を行う
近年は、会社側のハラスメント責任が問題となるケースも増えています。
8 問題社員対応でよくある失敗例
⑴ 証拠がない
「何となく問題があった」という程度では、裁判で会社側が不利になることがあります。
⑵ 就業規則が未整備
懲戒処分は、就業規則の根拠が極めて重要です。
古い就業規則を長年放置している会社も少なくありません。
⑶ 感情的に対応してしまう
問題社員対応では、経営者側にも強いストレスがかかります。
しかし、感情的対応は、
- 不当解雇
- パワハラ
- 退職強要
と評価されるリスクがあります。
⑷ 初動が遅い
問題行為を放置した結果、
- 他社員の退職
- 社内秩序悪化
- 売上低下
につながるケースもあります。
問題社員対応は、初動が極めて重要です。
9 Q&A|問題社員対応でよくある質問
Q 問題社員をすぐ解雇できますか?
A
日本の労働法では、会社が従業員を自由に解雇することはできません。
客観的合理性・社会的相当性が必要となります。
Q 能力不足だけで解雇できますか?
A
能力不足解雇のハードルは高く、
- 教育
- 指導
- 配置転換
- 改善機会付与
などを十分行ったかが重要になります。
Q 退職届を書かせれば問題ありませんか?
A
強引に退職届を書かせた場合、後に「退職強要」として争われる可能性があります。
Q 問題社員を自宅待機にできますか?
A
ケースによります。
合理的理由なく長期間自宅待機を命じると、違法となる場合があります。
10 問題社員対応は弁護士への早期相談が重要
問題社員対応は、
- 初動
- 証拠化
- 指導方法
- 退職勧奨の進め方
を誤ると、労働審判・訴訟へ発展することがあります。
特に中小企業では、
- 就業規則未整備
- 指導記録不足
- 感情的対応
が原因で紛争化するケースも少なくありません。
早い段階で弁護士に相談することが重要です。
11 弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで、
- 解雇可能性の見通し
- 証拠整理
- 警告書作成
- 退職勧奨サポート
- 労働審判対応
- 就業規則整備
などについて支援を受けることができます。
12 まとめ
問題社員を辞めさせるには、単に「会社が困っている」というだけでは足りず、法的に適切な手順を踏む必要があります。
特に、
- 証拠化
- 段階的指導
- 就業規則整備
- 適切な退職勧奨
が重要になります。
問題社員対応でお困りの企業様は、早めに弁護士へご相談ください。
仙台・宮城で、
- 問題社員対応
- 解雇
- 退職勧奨
- 労働審判
- ハラスメント対応
- 就業規則整備
などでお困りの方は、 弁護士法人結の杜総合法律事務所までお気軽にご相談ください。
宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
