コラム「自己破産とは?仕組みや手続き、デメリットまで詳しく解説」

自己破産とは何か

自己破産とは、借金などの返済ができなくなったときに、裁判所を通じて債務を整理する制度の一つです。債務者の財産を債権者に公平に分配するとともに、返済しきれなかった借金を「免責」によって帳消しにすることで、債務者の生活再建を支援します。

自己破産は、個人・法人を問わず、債務者自らが裁判所に申立てることで始まります。中でも、個人の破産の多くが自己破産によって処理されており、生活の立て直しを目的とした重要な制度といえます。

自己破産の手続きの流れと開始条件

自己破産が認められるための条件

自己破産をするには「支払不能」であること、つまり継続的に借金の返済ができない状態であることが必要です。これは、以下のような状態をいいます。

  • 財産や収入が借金の返済に足りない
  • 信用や労働力を使っても資金調達が困難
  • 一時的な資金不足ではなく、慢性的な返済不能

支払不能かどうかは、裁判所が個別に判断します。生活保護を受けている方など、収入や資産状況により支払不能と認定されるケースもあります。

破産手続開始決定と免責手続

支払不能と認められると、「破産手続開始決定」が下されます。しかしこの段階では、借金はまだ帳消しにはなりません。借金を免除されるには、さらに「免責許可決定」を受ける必要があります。

自己破産の目的は、この免責を得て借金の支払い義務から解放されることにあります。

免責とは?借金が帳消しになる仕組み

免責とは、自己破産によって処理できなかった借金の支払い義務を裁判所が免除する決定です。免責許可が下されると、原則としてすべての借金が帳消しになります。

個人の自己破産では、財産が少ないケースが多いため、「同時廃止」といって破産手続きと同時に免責に進む簡易な方法が選ばれることもあります。

免責が認められないケース(免責不許可事由)

以下のような行為がある場合、免責が認められない(=借金が帳消しにならない)可能性があります。

  • 故意に財産を隠したり処分したりした場合
  • 特定の債権者にだけ優遇した返済をした場合
  • ギャンブルや浪費により多額の借金をした場合
  • 虚偽の債権者名簿を提出した場合
  • 裁判所の調査に非協力的な態度をとった場合

ただし、事情によっては裁判所の裁量で免責が認められることもあります。

免責されない借金(非免責債権)とは

以下のような債権は、免責許可が下りても支払い義務が残ります。

  • 税金や罰金
  • 故意または重大な過失による損害賠償請求
  • 養育費や扶養義務に基づく請求
  • 使用人(従業員)からの給与や預り金の請求
  • 債権者名簿に記載されなかった債権 など

これらは「非免責債権」と呼ばれ、自己破産によっても支払い義務が免除されません。

自己破産のデメリット

一時的な資格制限

自己破産をすると、一定の資格や職業に就けなくなる場合があります。例えば以下のような職業です。

  • 弁護士、公認会計士、税理士などの士業
  • 宅建業者、警備業者、生命保険募集人など
  • 後見人、遺言執行者などの民法上の職務

ただし、免責が確定すればこれらの資格制限は解除されます。

旅行や転居の制限

破産管財人が選任されると、長期の旅行や転居には裁判所の許可が必要になります。また、郵便物が破産管財人に転送されるなどの不便もありますが、これも破産手続終了後に解消されます。

信用情報への登録

自己破産をすると、個人信用情報に事故情報として登録されます。そのため、5〜7年程度はクレジットカードの作成やローンの利用が難しくなります。ただし、借金を返済できなくなれば、破産しなくても事故情報は登録されます。

7年以内の再度の破産で免責が受けられない

過去7年以内に免責を受けたことがある場合は、再び破産しても原則として免責が認められません。

自己破産に対する誤解と真実

自己破産にはいくつかの誤解がありますが、以下のような心配は不要です。

  • 戸籍や住民票に記載される?
    → 記載されません。官報に公告されるだけで、一般の人の目に触れることはほとんどありません。
  • 就職や結婚に支障が出る?
    → 一般企業であれば自己破産によって就職が制限されることはありません。結婚にも法律上の制限はありません。
  • 会社に知られる?解雇される?
    → 給与の差押えなどがなければ会社に知られることは少なく、破産を理由に解雇されることも基本的にはありません。

まとめ:自己破産は生活再建のための制度です

自己破産は「人生の終わり」ではありません。借金問題をリセットし、再スタートを切るための法的手段です。借金に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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