「家賃が何か月も支払われていない…」
「賃借人が無断で第三者に建物を貸してしまって困っている…」
などのような賃借人の債務不履行(契約違反)があった場合,建物賃貸借契約を解除して,建物を明け渡すよう請求することが考えられます。
今回は,賃料不払いの場合と無断転貸の場合についてご説明いたします。
① 賃料不払いの場合
この場合,賃貸借契約を解除するには,原則として,まずは相当の期間を定めて,その期間内に未払いとなっている賃料を支払うよう催告する必要があります。
そして,その期間内に支払いがされない場合に,賃借人に対し,賃貸借契約を解除するとの意思表示をすることとなります。
ただし,判例上,賃借人の側で,「賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊すると認めるに足りない事情があること」を立証した場合には,解除は認められないとされています。
賃料不払いの場合,たった1回不払いがあっただけでは,まだ信頼関係が破壊されたとは言えず,解除は認められない可能性が高いでしょう。
他方,何らの正当な理由もなく3か月以上の賃料を滞納する場合には,原則として信頼関係が破壊されたものと考えられ,解除が認められることが多いと思われます。
なお,一定の場合には,催告をせずに賃貸借契約を解除すること(無催告解除)も認められます。
② 無断転貸の場合
賃借人が無断で第三者に建物を貸して使用収益させている場合,賃貸人は,原則として賃貸借契約を催告することなく解除することができます(民法612条)。
ただし,こちらも判例上,「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合」には解除は認められないこととされています。
例えば,
・個人で営業活動を行っていた賃借人が法人成りし,かつ,その経営実態に変動がない場合
・建物を借りて経営を行っていたが,その経営主体が賃借人からその配偶者や子に移転した場合
などには,解除は認められないでしょう。
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