近年、顧客による過剰なクレームや迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が企業現場で深刻な問題となっています。従業員を守るためには、事業主が適切な対策を講じることが不可欠です。本コラムでは、企業に求められるカスタマーハラスメント対応の基本から、法的視点、具体的な対応策までを弁護士が解説します。
1. 企業・事業主に求められるカスタマーハラスメント対策とは【法的視点】
2019年の労働施策総合推進法改正により、事業主には職場におけるハラスメント防止措置が義務化されました。2020年1月には厚生労働省から「職場におけるハラスメント防止指針(告示第5号)」が出され、カスタマーハラスメント対策もその対象となっています。
具体的に企業が求められる対策は以下の通りです:
- 相談体制の整備(対応部署や相談窓口の設置)
- 従業員の心身ケア(メンタルケア体制の整備)
- ハラスメント防止の教育・研修
企業がこうした対策を行うことで、以下のようなメリットも期待できます:
- 顧客対応の質の向上
- 問題顧客の減少
- 職場の士気向上・離職率低下
2. カスタマーハラスメントは犯罪に該当することも【違法性の具体例】
厚生労働省の調査でも、カスタマーハラスメントはパワハラやセクハラに次いで多いとされています。
カスタマーハラスメントに該当する言動の例:
要求内容が不当な場合(例):
- サービスに非がないにも関わらず執拗に返金・補償を求める
- サービス内容と無関係な個人的要求をする
手段・態様が不当な場合(例):
- 暴力・脅迫・人格攻撃
- 土下座の強要や居座り
- 継続的な悪質クレーム
- 従業員への個人攻撃
これらの行為は、刑法により暴行罪・脅迫罪・業務妨害罪等に該当する可能性があり、適切な対応が求められます。
3. 企業が行うべきカスタマーハラスメント対策【事前準備と事後対応】
【事前準備:起こる前に備える】
- 基本方針の社内共有
- 相談窓口や対応者の明確化
- 対応マニュアル・研修の実施
【事後対応:発生後の対処】
- 事実関係の正確な把握
- サービスに不備があれば誠意ある対応
- 従業員へのフォロー(精神面も含む)
- 再発防止策の見直し・継続的改善
また、相談者のプライバシー保護や不利益取扱いの禁止も重要な視点です。
結の杜総合法律事務所では労働問題のトータルサポートを行っています
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。