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コラム「相続税の申告期限までに遺産分割が終わらないときの対処法とは?」

2025-05-31

「父が亡くなって相続が発生しましたが、相続人同士でもめており、相続税の申告期限までに遺産分割が終わりそうにありません。このような場合、相続税の申告はどうすればよいのでしょうか?」

結の杜総合法律事務所には、相続税の申告期限に関するこのようなご相談が多く寄せられています。
相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行う必要がありますが、遺産分割が申告期限までに完了しないケースは少なくありません。

本記事では、相続税の申告期限までに遺産分割が終わらない場合の具体的な対処法や、適用できる相続税の特例制度について、弁護士・税理士の観点から詳しく解説いたします。


1. 遺産分割が終わっていない場合でも相続税の申告は必要

相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割が完了していない場合でも、相続税の申告は必要です。

この場合、未分割の財産は、法定相続分に基づいて各相続人が取得したものとして課税価格を計算し、申告書を作成・提出します。

ポイント:

  • 期限を過ぎても申告書の提出は可能(期限後申告)。
  • ただし、無申告加算税などのペナルティが発生することがあります。

2. 遺産分割が終わっていないと適用できない相続税の特例

相続税の軽減措置として以下のような特例がありますが、これらは申告期限までに遺産分割が完了していることが条件です。

  • 配偶者の税額軽減
  • 小規模宅地等の特例
  • 特定計画山林の特例

ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付すれば、分割完了後に特例を適用できる可能性があります。


3. やむを得ない事情による延長措置と承認申請

遺産分割が申告期限から3年以内にも終わらなかった場合でも、「やむを得ない事情」があると認められれば、特例の適用が可能になる場合があります。

「やむを得ない事情」とは

  • 遺産分割調停・審判・訴訟が継続している
  • 遺産分割が一時的に禁止されている
  • 相続人の重病や海外在住などで分割が困難

このような場合は、「承認申請書」を所轄税務署に提出する必要があります。


4. 分割後の対応:更正の請求・修正申告

遺産分割が後日完了した場合の対応は以下の通りです:

  • 相続税額が減額になる場合:「更正の請求」が可能
  • 相続税額が増額になる場合:「修正申告」が必要

いずれも、期限や提出書類に注意が必要ですので、早めに専門家へご相談ください。


5. 弁護士・税理士が在籍する結の杜総合法律事務所だから安心

結の杜総合法律事務所は、弁護士法人と税理士法人を一体運営しており、代表の髙橋は弁護士・税理士の両資格を有しています。東北エリアでこの形態は唯一です。

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コラム「カスタマーハラスメントとは?企業・事業主が取るべき具体的な対応策と予防法を徹底解説」

2025-05-23

近年、顧客による過剰なクレームや迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が企業現場で深刻な問題となっています。従業員を守るためには、事業主が適切な対策を講じることが不可欠です。本コラムでは、企業に求められるカスタマーハラスメント対応の基本から、法的視点、具体的な対応策までを弁護士が解説します。

1. 企業・事業主に求められるカスタマーハラスメント対策とは【法的視点】

2019年の労働施策総合推進法改正により、事業主には職場におけるハラスメント防止措置が義務化されました。2020年1月には厚生労働省から「職場におけるハラスメント防止指針(告示第5号)」が出され、カスタマーハラスメント対策もその対象となっています。

具体的に企業が求められる対策は以下の通りです:

  • 相談体制の整備(対応部署や相談窓口の設置)
  • 従業員の心身ケア(メンタルケア体制の整備)
  • ハラスメント防止の教育・研修

企業がこうした対策を行うことで、以下のようなメリットも期待できます:

  • 顧客対応の質の向上
  • 問題顧客の減少
  • 職場の士気向上・離職率低下

2. カスタマーハラスメントは犯罪に該当することも【違法性の具体例】

厚生労働省の調査でも、カスタマーハラスメントはパワハラやセクハラに次いで多いとされています。

カスタマーハラスメントに該当する言動の例:

要求内容が不当な場合(例):

  • サービスに非がないにも関わらず執拗に返金・補償を求める
  • サービス内容と無関係な個人的要求をする

手段・態様が不当な場合(例):

  • 暴力・脅迫・人格攻撃
  • 土下座の強要や居座り
  • 継続的な悪質クレーム
  • 従業員への個人攻撃

これらの行為は、刑法により暴行罪・脅迫罪・業務妨害罪等に該当する可能性があり、適切な対応が求められます。


3. 企業が行うべきカスタマーハラスメント対策【事前準備と事後対応】

【事前準備:起こる前に備える】

  • 基本方針の社内共有
  • 相談窓口や対応者の明確化
  • 対応マニュアル・研修の実施

【事後対応:発生後の対処】

  • 事実関係の正確な把握
  • サービスに不備があれば誠意ある対応
  • 従業員へのフォロー(精神面も含む)
  • 再発防止策の見直し・継続的改善

また、相談者のプライバシー保護不利益取扱いの禁止も重要な視点です。


結の杜総合法律事務所では労働問題のトータルサポートを行っています

カスタマーハラスメント、パワハラ、セクハラ、未払い残業代など、労働に関する法的トラブルはお任せください。

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コラム「離婚時の『住宅ローン付き不動産』はどう分ける?財産分与の具体的な方法を解説」

2025-05-16

離婚を考える際、「住宅ローンが残っている自宅はどうすればよいのか?」という疑問を持つ方は非常に多くいらっしゃいます。住宅ローンが残る不動産は、財産分与の対象になるのか、また、分与の方法にはどのような選択肢があるのか――このコラムでは、法律的な観点から詳しく解説いたします。


1. 住宅ローン付き不動産は財産分与の対象になるの?

離婚時の財産分与では、不動産が「共有財産」として扱われるかどうかが重要です。以下のような点を総合的に判断する必要があります。

  • 不動産の取得時期や名義
  • 不動産の時価とローン残高のバランス
  • 売却か取得か、どちらの方法を取るか
  • 名義が単独か共有か
  • 履行(支払や引渡し)をどう確保するか

2. 財産分与の対象になるケースとならないケース

● 不動産の名義と取得の経緯がカギ

不動産の名義が夫・妻のいずれか一方であっても、取得資金が共有の財産(婚姻中の収入など)であれば、財産分与の対象になります。一方、親族からの援助で購入した場合、その割合に応じて対象部分が限定されることもあります。

● 住宅ローンの支払い実績も考慮される

婚姻期間中に支払った住宅ローンは、原則として夫婦双方の寄与として扱われ、通常は半々の割合で考えられます(東京高判平成10年2月26日等)。


3. 不動産の価値がローン残高より多い場合の対応

● 不動産を売却する場合

売却額からローン残高と諸経費(仲介手数料など)を引いた残額が財産分与の対象となります。たとえば、

  • 売却価格:3,000万円
  • ローン残高:1,800万円
    → 残り1,200万円を2分の1ずつ分与(600万円ずつ)

名義が単独である場合、仮登記や保全処分を用いて履行を確保する方法も検討が必要です。

● 一方が不動産を取得し、住み続ける場合

住宅ローン残高を控除した不動産の時価分を、取得者が相手に「清算金」として支払う形になります。この場合、公正証書を作成するなど、履行を確実にする措置が望ましいです。


4. 不動産の価値がローン残高より少ない場合の対応

● 売却してもローンが残るケース

例:不動産の売却額が2,000万円、ローン残高が3,000万円 → 残り1,000万円の債務が残る
この場合、債務の分担方法(債務引受など)を協議で決める必要があります。ただし、債権者との関係では、名義変更や保証人変更を行わなければ、法的な支払義務は変わりません。

● 一方が取得し、ローン全額を負担するケース

取得者がローン全額を負担する代わりに、不動産全体を引き継ぐ形が一般的です。その他、慰謝料や扶養的財産分与の形で、片方が一部ローンを負担する合意をすることもあります。


5. 弁護士に相談するメリットとは?

住宅ローン付き不動産の財産分与は、非常に複雑な問題を含んでいます。名義・債務・清算金の取り決め、履行確保の方法など、専門的な判断が不可欠です。


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結の杜総合法律事務所では、離婚・財産分与における住宅ローン問題について、経験豊富な弁護士が丁寧にアドバイスいたします。

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コラム「【経営者・ビジネスオーナー必見】事業譲渡で新規事業・事業拡大を成功させるには?手続きの流れを解説」

2025-05-09

新規にビジネスを始めたいときや、既存事業をさらに拡大・発展させたいと考えたとき、ゼロから立ち上げるよりも、すでに実績やノウハウを持つ他社の事業を譲り受けることを検討する経営者の方も多いのではないでしょうか。

では、実際に事業を譲り受けるには、どのような手続きが必要になるのでしょうか?
今回は、事業譲渡の手続きと注意点について、わかりやすく解説します。


事業譲渡とは?ビジネス拡大・新規事業スタートに有効な手段

「事業譲渡」とは、ある会社が他社に対して事業の全部または一部を売却し、買い手がそれを引き継ぐ手続きです。
この方法を使えば、すでに顧客基盤やノウハウを持つ事業を手に入れることができ、スピーディーな事業拡大や新規事業立ち上げが可能になります。

ただし、手続きや法律上のポイントをしっかり押さえることが重要です。


事業譲渡の基本的な手続きの流れ

1. 基本合意書(覚書)の作成

まずは売り手・買い手双方で、譲渡する事業の範囲、金額、従業員の処遇、競業避止義務(売り手が同業で再スタートしない約束)などについて合意し、覚書を交わすのが一般的です。

2. 取締役会の承認

会社法上、重要な資産の取得にあたるため、取締役会で承認決議を行う必要があります(会社法362条4項1号)。

3. 事業譲渡契約書の締結

事業譲渡の具体的な内容を記載した契約書を締結します。契約書には、

  • 事業財産の範囲
  • 代金の支払い方法
  • 従業員・商号の引継ぎ
  • 債務の取り扱い

などを明記します。

4. 株主総会の特別決議

譲受けが会社全体に大きな影響を及ぼす場合、株主総会で特別決議を行う必要があります(会社法467条1項3号)。

※取引規模が小さい場合(純資産額の1/5以下)は「簡易手続き」が可能な場合もあります。


事業譲渡時に注意すべき「債権者への対応」

事業を引き継いでも、前の会社の借金(債務)を自動的に引き継ぐわけではありません
ただし、次のようなケースでは新しいオーナー(譲受会社)が債務を負担することになるため注意が必要です。

  • 商号(会社名)を引き継いだ場合(原則、全債務の責任を負う)
  • 債務を引き継ぐ旨を広告・通知した場合

特に、商号続用の場合には、すぐに「旧会社の債務は引き継ぎません」と登記や通知をしないと、知らないうちに債務を負うリスクも。
事前にしっかりと弁護士に相談して進めることが大切です。


公正取引委員会への届出が必要な場合も

一定規模以上(大型案件)の事業譲渡では、独占禁止法に基づき公正取引委員会への事前届出が必要になります。
届出後、原則30日間は譲渡手続きを実行できませんので、スケジュールにも注意しましょう。


まとめ:事業譲渡はスピード感のある成長戦略!しかし慎重な対応が必要

事業譲渡をうまく活用すれば、リスクを抑えながらビジネス拡大や新市場参入が実現可能です。
ただし、法律上の手続きや債務問題、税務リスクなど、慎重な対応が求められます。


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コラム「【弁護士監修】相続放棄とは?借金相続を回避する方法と手続きの流れを解説」

2025-04-25

「親が亡くなった後、借金の請求が来た」そんなときの対処法とは?

Q:父が亡くなりましたが、多額の借金があるようです。相続放棄をすれば借金を相続しなくて済むのでしょうか?

A:相続放棄をすることで、借金を含むすべての相続財産を引き継がずに済みます。ただし、相続放棄には期限があるため、注意が必要です。


相続放棄とは?~借金も含めて一切の相続を断る手続き~

相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった方)の財産や借金など一切の権利義務を引き継がないとする法律上の手続きです(民法第915条)。相続放棄をすると、最初から相続人でなかったものとみなされ、借金の支払い義務も免れます。

【注意】遺産分割協議で相続分を「0」にしても相続放棄にはなりません

相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要であり、遺産分割協議で何も受け取らなかっただけでは、放棄とは扱われません。


相続放棄の手続きと期限(熟慮期間)

相続放棄の方法

相続放棄を希望する場合は、相続が開始されたことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述を行う必要があります。この3か月を「熟慮期間」と呼びます。

3か月のカウントはいつから?

熟慮期間の起算点は以下の2点を知ったときからです:

  • 被相続人の死亡という事実
  • 自分が相続人になったこと

【例外】熟慮期間の延長も可能

借金の有無がすぐには分からない場合など、相続財産の調査に時間を要するケースでは、家庭裁判所に熟慮期間の延長申立てが可能です。弁護士などの専門家の助言を受けながら対応するのが安心です。


相続放棄が認められないケースとは?

以下の場合には、相続放棄が認められず、「単純承認(全てを相続する)」とみなされるので注意が必要です(民法第921条):

  • 相続財産の一部でも処分した場合
  • 熟慮期間内に相続放棄の手続きをしなかった場合
  • 放棄後に相続財産を隠す・使う・財産目録に記載しないなどの行為をした場合

相続放棄をしても受け取れるものとは?~生命保険金や死亡退職金など~

生命保険金は相続財産に含まれない

死亡保険金の受取人が特定されている場合は、その保険金は受取人固有の財産とされ、相続財産には含まれません。したがって、相続放棄をしても受け取ることが可能です。

死亡退職金も相続放棄しても受給可能な場合が多い

就業規則等により受取人が定められている場合、死亡退職金も相続財産とはみなされず、相続放棄の影響を受けません。ただし、ケースにより異なるため確認が必要です。


相続放棄と税務上の取扱い

準確定申告の義務

被相続人が生前に申告すべきだった所得税等については、相続人が準確定申告を行う義務があります。ただし、相続放棄をした人は最初から相続人でなかったとみなされるため、申告義務はありません

相続税の基礎控除に影響

相続税の非課税枠の計算では、相続放棄がなかったと仮定した相続人の数をもとに基礎控除額を算出します。また、生命保険金については、相続放棄をすると非課税枠の適用が受けられなくなる点にも注意が必要です。


弁護士による相続放棄のサポートを活用しましょう

相続放棄は、期限が短く、要件も複雑な手続きです。放棄の意思がある場合は、できるだけ早く専門家に相談することが重要です。

結の杜総合法律事務所では、

  • 相続放棄のご相談
  • 家庭裁判所への申述書の作成
  • 手続全般の代理申請

まで、弁護士が丁寧に対応いたします。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

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コラム「財産管理・相続対策としての民事信託の活用法【弁護士が解説】」

2025-04-18

1.民事信託とは?高齢者・障がい者の財産管理や相続対策として注目

民事信託(家族信託とも呼ばれます)は、近年、超高齢社会の進展により、高齢者や障がいのある方の財産管理や、遺言書に代わる柔軟な相続対策の手段として注目を集めています。

これは、親(委託者)が子(受託者)などに対し、自身の財産管理・承継を託し、信頼できる相手に財産を託す仕組みです。
信託は、「委託者」が自身の財産を「受託者」に託し、「受益者」がその利益を受けるという三者関係により構成されます。


2.民事信託の3つの設定方法とその違い

(1)信託契約による信託(遺言代用信託)

最も一般的な方式です。委託者と受託者が契約を結び、財産の管理や承継について取り決めます。
**委託者死亡後に効力を生じる「遺言代用信託」**として設計することで、遺言書なしで円滑な相続が可能になります。

メリット:

  • 受託者が契約内容を把握
  • 遺言方式の制約なし
  • 柔軟な設計が可能

(2)遺言信託

遺言書によって信託を設定する方式です。公正証書遺言での作成が推奨されます。
ただし、遺言の方式違反や検認手続が必要となるリスクもあります。

(3)信託宣言(自己信託)

自身が受託者となる方式です。特定の要件を満たせば設定可能ですが、やや特殊な形式であるため、実務ではあまり一般的ではありません。


3.遺留分侵害と民事信託の関係|注意すべき法的リスク

遺留分侵害額請求(民法1042条以下)は、民事信託にも適用されるため注意が必要です。

信託によって遺留分を侵害する場合、信託の設定が無効となるリスクや、受益権の価値が争点となる可能性があります。
実際の裁判例でも、経済的利益の分配が想定されない信託が公序良俗違反で無効とされたケースがあります。

※民事信託の設計には、遺留分を含めた相続全体のバランス調整が不可欠です。


4.民事信託と課税関係|相続税・贈与税・譲渡所得税との関係

民事信託には以下のような税務リスクが伴います。設計段階から税理士・弁護士と連携することが重要です。

  • 受益者が信託財産を取得したとみなされる場合の贈与税・相続税
  • 信託期間中の所得に対する課税(原則受益者に課税)
  • 受益権の譲渡時の譲渡所得課税
  • 信託終了時の課税処理

信託の形態(自益信託・他益信託)や、受益者の属性(個人・法人)によって課税内容が変わるため、税務面の適切な対応が必須です。


5.民事信託の活用事例|実際の設計例から学ぶ

【ケース1】配偶者の生活を保障しつつ、特定の親族へ不動産を承継

目的:妻に賃料収入を確保しつつ、将来的には親族(弟の子)へ不動産を承継
方法:受益者連続型の信託契約(遺言代用信託)

ポイント

  • 遺言書では実現できない「二次承継」が可能
  • 妻の生存中は生活費として賃料を取得
  • 妻死亡後に弟の子へ資産をスムーズに承継

【ケース2】認知症による判断能力低下を見越したアパート経営の引継ぎ

目的:高齢化による判断能力の低下に備え、アパート経営を円滑に継続
方法:長男を受託者とする信託契約でアパート管理を委任

ポイント

  • 認知症発症後もアパートの修繕・建替えが可能
  • 法定後見制度では対応困難な経営判断にも対応
  • 最終的な資産承継者として長男を設定可能

6.まとめ|民事信託は相続・財産管理の有力な選択肢

民事信託は、柔軟な財産管理・承継手段として大変有用な制度です。
ただし、遺留分や税務、法的要件など、専門知識が必要な場面が多く存在します。

結の杜総合法律事務所では、相続や信託の専門知識を有する弁護士が、信託契約書の作成・設計・相談までトータルでサポートしております。

お気軽にご相談ください。

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コラム「【弁護士が解説】交通事故で『過失相殺』と言われたら?意味・基準・注意点をわかりやすく解説」

2025-04-11

「交通事故に遭い、相手から“あなたにも過失がある”と言われました。これはどういう意味?損害賠償に影響する?」

そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では「過失相殺(かしつそうさい)」とは何か、その基準や具体例、注意点について、交通事故に強い弁護士がわかりやすく解説します。


1. 過失相殺とは?|交通事故における意味

過失相殺とは、交通事故などで被害者側にも一定の落ち度(過失)がある場合に、その分だけ損害賠償額を減らすという制度です。

これは民法上の考え方で、公平性を重視して設けられているルールです。交通事故の場合、過去の裁判例などをもとに、ある程度の「基準」が存在します。


2. 過失相殺の基準|「何割が誰の過失か」はどう決まる?

過失相殺は、「加害者と被害者、どちらにどの程度の注意義務違反があったか」を元に判断されます。

交通事故の具体的な状況に応じて、裁判所や保険会社は一定の基準に基づいて過失割合を判断しています。

特に参考にされるのが、東京地方裁判所民事交通訴訟研究会が編集した「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂五版)〔別冊判例タイムズ38号〕」です。

この基準では、以下のような事故類型ごとに過失割合の目安が示されています:

  • 歩行者と自動車(四輪車・単車)
  • 自転車と自動車
  • 自動車同士の事故
  • 単車と自動車の事故
  • 高速道路での事故
  • 駐車場内での事故

3. 被害者にも過失がある場合とは?|よくある具体例と過失割合

(1)全く落ち度がない場合

例:

  • 停車中の車に追突された
  • 青信号で横断歩道を渡っていた歩行者がはねられた

このようなケースでは、被害者に過失はないとされ、過失相殺は行われません。


(2)一部過失があるとされるケース

道路交通法では、自動車・単車・自転車・歩行者のいずれにも「注意義務」が課されています。その注意義務の程度は次のように整理されます:

四輪車 > 単車 > 自転車 > 歩行者

■交差点での右折車と直進車の衝突事故(信号青)

  • 原則:直進車が優先
  • ただし、直進車にも注意義務があるため、事故が起きた場合は直進車に20%の過失が認定されることもあります。
  • 右折車が単車の場合は、直進車の過失が15%程度になることもあります(四輪車の方が注意義務が重いため)。

■歩行者が道路の左側端を歩行していた場合

道路の右側端を歩くべきというルールがあるため、これに違反していた場合は5%程度の過失が認定される可能性があります。

ただし、自動車側には歩行者との安全距離保持・徐行義務があるため、過失の割合はあくまで軽微です。


■自転車が右側通行していた場合

道路交通法では、自転車は原則左側通行です。右側通行中に事故に遭った場合は、自転車側にも20%程度の過失が認められることがあります。


4. 弁護士に相談すべき理由|過失割合で損をしないために

過失割合の判断はとても複雑で、交渉次第では本来もらえるはずの賠償額が大きく減ってしまうこともあります。保険会社任せにせず、交通事故に強い弁護士に相談することが大切です。


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コラム「【建物明渡しでお悩みの方へ】賃貸物件のトラブル相談が急増しています」

2025-04-04
  • 「家賃が何か月も支払われていない…」
  • 「借主が居座って退去してくれない…」
  • 「どうやって建物を明け渡してもらえばいいのかわからない…」

このような問題でお困りではありませんか?

賃貸物件の経営では、安定した家賃収入を確保することが非常に重要です。しかし、家賃を滞納する借主がいる場合、迅速に適切な対応を取らなければ、大きな損失につながる可能性があります。

建物明渡しの基本的な流れ

家賃滞納や契約違反により建物の明渡しを求める場合、以下のステップで手続きを進めます。

賃貸借契約の解除および交渉

まず、内容証明郵便を利用して、賃貸借契約を解除する意思表示を行います。同時に、未払家賃の請求や建物の明渡しを求め、借主と任意交渉を試みます。

占有移転禁止の仮処分(必要に応じて)

借主が第三者に無断で建物の占有を移すことを防ぐため、「占有移転禁止の仮処分」を申し立てる場合があります。この措置を講じることで、明渡し判決を得た後の強制執行がスムーズに進むようにします。

訴訟提起(交渉が決裂した場合)

借主が交渉に応じない場合は、裁判所に「建物明渡請求訴訟」を提起し、未払賃料の請求と明渡しを求めます。借主が行方不明であっても、訴訟を進めることは可能です。

強制執行(判決後の対応)

勝訴判決を取得した後、裁判所の手続きを通じて強制執行を行います。未払賃料については、財産調査を行い、給与・預貯金の差押えや動産の回収を検討することも可能です。

弁護士に依頼するメリット

建物明渡しの手続きは複雑で、適切な対応を取らなければ時間がかかることもあります。弁護士に依頼することで、

適切な法的手続きをスムーズに進められる
借主との交渉や裁判手続きをすべて代理してもらえる
トラブルを最小限に抑えつつ迅速な解決が可能

結の杜総合法律事務所では、賃貸借トラブルに関する無料相談を受け付けております。

  • 手続きの流れ
  • 実際にかかる費用
  • 成功事例のご紹介

これらを弁護士が丁寧にご説明し、ご納得いただいた上でご依頼いただけます。また、無理な勧誘などは一切ございません。

家賃滞納や建物の明渡し問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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コラム「公正証書遺言とは?作成方法・メリット・デメリットを解説!」

2025-03-28

1. はじめに

公正証書遺言とは、公証人が関与して作成する法的に強固な遺言のことです(民法第969条)。遺言者が公証人の前で遺言内容を口頭で伝え、それを公証人が筆記し、所定の手続きを経て作成されます。

この点が、自筆証書遺言(全文を自筆で記載し、日付・氏名を記入して押印する)との大きな違いです。本記事では、公正証書遺言の作成方法、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

2. 公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言を作成するには、公証役場に証人2人とともに行き、所定の費用を支払う必要があります。作成のための要件は以下の通りです。

(1)証人2人以上の立会い

公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要です。証人になれない人は以下の通りです。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者、その配偶者および直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

証人を依頼する際には、作成中ずっと立ち会ってもらう必要があるため、十分な時間を確保してもらいましょう。

(2)遺言者が遺言内容を公証人に口授

遺言者は、公証人に対し遺言内容を直接口頭で伝えます。覚書の利用は可能ですが、代理人による口授は認められません。

※遺言者が話せない場合は、手話通訳や自書による申述が認められます。

(3)公証人による筆記と確認

公証人が遺言内容を筆記し、遺言者および証人に読み聞かせるか、閲覧させます。

※遺言者が耳が聞こえない場合は、通訳人を介した確認も可能です。

(4)遺言者・証人の署名・押印

内容を確認後、遺言者および証人が署名・押印します。遺言者が署名できない場合は、公証人がその旨を付記します。

(5)公証人の署名・押印

公証人が作成手続きを終え、署名・押印を行います。

3. 公正証書遺言の費用

公証人手数料は目的物の価額に応じて異なります。下記の手数料額に11,000円を加算した金額が公正証書遺言作成の費用となります。

目的物の価額手数料
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1,000万円まで17,000円
3,000万円まで23,000円
5,000万円まで29,000円
1億円まで43,000円

※1億円を超える場合は、5000万円増えるごとに加算額が発生します。

出張作成の場合

遺言者が病気等で公証役場に行けない場合、公証人が自宅や病院に出張することが可能ですが、その場合、手数料が50%加算されます。

4. 公正証書遺言のメリット

✅ 方式の不備による無効リスクなし

法律の専門家である公証人が作成するため、無効になるリスクが低い。

✅ 内容改ざんの防止

遺言書の原本が公証役場に保管されるため、変造や紛失のリスクがない。

✅ 検認不要

自筆証書遺言とは異なり、家庭裁判所での検認手続が不要。

✅ 文字が書けない人でも作成可能

口述や手話通訳を利用して作成できる。

5. 公正証書遺言のデメリット

❌ 費用がかかる

公証人の手数料が発生するため、自筆証書遺言よりコストがかかる。

❌ 手続きがやや面倒

公証人役場に証人2人とともに出向く必要がある。

❌ 遺言の内容が証人に知られる

証人の立会いが必須のため、遺言の存在や内容が証人に知られてしまう。

6. まとめ

公正証書遺言は、公証人のチェックを受けながら作成するため、遺言の無効リスクが低く、紛争防止にもつながります。手続きの煩雑さや費用がかかる点はありますが、確実な遺言を残したい方にとって非常に有効な方法です。

公正証書遺言の作成を検討される際は、専門家に相談するのがおすすめです。

📌 遺言・相続に関するご相談は「結の杜総合法律事務所」へ!

当事務所では、公正証書遺言の文案作成、公証人とのやり取りなどのサポートを行っております。まずはお気軽にご相談ください。

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コラム「【徹底比較】私選弁護人と国選弁護人の違いとは?後悔しない弁護士の選び方」

2025-03-22

はじめに

突然の逮捕や警察からの取調べ、起訴など…。
そんなときに「弁護士に頼むべき?」「私選と国選、どっちがいいの?」と迷う方は少なくありません。
ここでは、刑事事件に強い【結の杜総合法律事務所】が、「私選弁護人」と「国選弁護人」の違いをわかりやすく解説します。


【この記事が役立つ方】

✅ ご本人やご家族が警察から取調べ・捜査を受けている
✅ 突然逮捕・勾留された
✅ 起訴され、裁判に不安がある
✅ 弁護士の選び方で迷っている


そもそも「弁護人」とは?

弁護人は、刑事事件の被疑者・被告人の権利を守り、弁護活動を行う弁護士のことです。
この弁護人には「私選弁護人」と「国選弁護人」の2つの選択肢があります。
どちらも「弁護人」であることは同じですが、選任方法や費用、活動開始のタイミングなどに違いがあります。


【比較表】私選弁護人と国選弁護人の違い

項目私選弁護人国選弁護人
誰が選ぶ?被疑者・被告人や家族が選ぶ裁判所が選任
弁護士の選択自由に選べる自由に選べない
選任の条件誰でも選任できる資産50万円未満等の条件あり
いつ選任できる?任意の取調べ段階から可能勾留後、起訴後のみ
費用負担ご本人・ご家族が負担原則として国が負担
メリット早期対応・手厚いサポート費用負担がない
デメリット費用負担が必要弁護士を選べない・対応が遅れることも

【もっと詳しく】私選弁護人とは?

✅ 誰が依頼する?

ご本人、ご家族が自由に選び、契約を結ぶことで弁護活動が開始されます。

✅ いつ依頼できる?

逮捕前の「任意の取調べ段階」から対応可能。

✅ メリット

  • 弁護士を自由に選べる
  • 取調べの初期段階から対応できる
  • ご家族へのこまめな報告や密な打ち合わせが期待できる

✅ デメリット

  • 弁護士費用はご本人やご家族の負担

【もっと詳しく】国選弁護人とは?

✅ 誰が選ぶ?

裁判所が選任し、登録弁護士の中から決まります。

✅ いつ選任される?

勾留されている場合や起訴された後。
任意での取調べ段階や逮捕直後は対象外です。

✅ メリット

  • 原則、費用負担がない

✅ デメリット

  • 弁護士を選べない
  • 弁護活動の開始が遅くなることがある
  • 時に「対応が遅い」「連絡が少ない」と感じることも
    ※国選弁護人の解任は難しいため、私選弁護人への切り替えを検討すべきケースもあります。

【こんな悩みはありませんか?】

「国選弁護人に任せているけど不安…」
「もっとこまめに連絡が欲しい…」
「早く対応してほしい…」

その場合は、早めに私選弁護人への切り替えをおすすめします!
結の杜総合法律事務所では、初回相談時に「今の状況」「ご希望」「費用の目安」を丁寧にご説明します。
無理な勧誘は一切ありませんので、まずはご相談ください。


【まとめ】弁護人選びで後悔しないために

私選弁護人と国選弁護人、どちらにもメリット・デメリットがあります。
しかし、「早期対応」が刑事事件では非常に重要です。
ご本人やご家族が「納得」できる弁護士選びが、解決への第一歩です。


【無料相談受付中】

刑事事件に強い弁護士が、迅速に対応します。

  • 初回相談1時間無料(五橋本店・泉中央支店)、初回相談50分5,500円(東京支店)
  • 土日・夜間も対応
  • ご家族からのご相談も可能

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