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コラム「更新を重ねた契約社員を雇い止めするには?― 無効とされないためのポイントと裁判例を解説 ―」
1 はじめに(契約社員の雇い止めでお悩みの企業様へ)
「契約社員を更新せずに雇い止めしたいが、トラブルにならないか不安」
「更新を繰り返している社員でも雇い止めは可能か?」
このようなご相談は、企業の人事・労務担当者様から非常に多く寄せられています。
有期契約は期間満了で終了するのが原則ですが、更新を重ねた場合には“雇い止めが無効”と判断されるケースも少なくありません。
本コラムでは、
- 雇い止めが無効となるケース
- 有効にするための実務上のポイント
- 裁判例の傾向
について、分かりやすく解説します。
2 雇い止めが無効となる基準(労働契約法19条)
有期労働契約でも、次の条件を満たす場合には、雇い止めが無効となる可能性があります。
◆ 判断基準(労働契約法19条)
以下すべてを満たす場合、契約更新があったものとみなされます。
① 更新に対する合理的期待がある
② 労働者が更新の申込みをしている
③ 更新拒否に合理的理由がなく相当でない
◆ 「合理的期待」が認められる典型例
次の事情がある場合、雇い止めは厳しく判断されます。
- 更新回数が多い(長期雇用)
- 業務内容が正社員と同じ
- 「更新される」と期待させる発言・運用
- 更新手続が形式的(自動更新に近い)
- 他の社員は更新されている
👉 実質的に“正社員と同じ扱い”になっている場合は要注意です。
3 雇い止めが有効とされるケース
一方で、以下のような事情があれば、雇い止めが有効と判断される可能性があります。
◆ 有効となる主な理由
- 業務が臨時的・限定的
- 更新回数が少ない
- 更新しない可能性を明確に説明している
- 勤務成績不良・規律違反
- 経営上の必要性(業務終了・組織改編など)
◆ 重要なポイント(実務上の核心)
特に重要なのは以下の3点です:
① 雇い止めの「必要性」
例:業務終了、売上減少、人員削減など
② 雇い止め回避の努力
例:配置転換の検討、契約条件変更の提案
③ 手続の相当性
例:事前説明、面談、理由の明示
👉 この3点を欠くと、雇い止めは無効になりやすくなります。
4 更新上限・不更新条項がある場合の注意点
契約書に以下の定めがある場合:
- 更新回数の上限(例:3回まで)
- 次回更新しない旨の特約(不更新条項)
これらは有利に働く可能性がありますが、
👉 これだけで雇い止めが有効になるわけではありません。
◆ 無効とされる典型例
- 上限を超えて更新している
- 労働者が内容を十分理解していない
- 実際の運用が契約と異なる
5 正社員と同様の働き方の場合のリスク
契約社員であっても、
- フルタイム勤務
- 基幹業務を担当
- 長期間継続雇用
といった場合には、
👉 整理解雇と同様の厳しい基準で判断されることがあります。
6 無期転換ルール(5年ルール)に要注意
◆ 無期転換とは?
契約社員が
👉 通算5年を超えて更新された場合
労働者の申込みにより、無期雇用へ転換します。
◆ 重要なポイント
- 使用者は拒否できない
- 転換後は「解雇」の問題になる
- 雇い止めよりもはるかに厳しい基準
👉 5年到達前の対応が極めて重要です。
7 企業がとるべき実務対応(重要)
雇い止めトラブルを防ぐためには、以下の対策が有効です。
✔ 実務チェックリスト
- 契約書に更新条件を明確に記載
- 更新時に毎回説明・面談を実施
- 評価記録(勤務態度・成績)を残す
- 不更新の可能性を事前に説明
- 無期転換前に方針を整理
👉 「記録」と「説明」が最大の防御策です。
8 まとめ(雇い止めで失敗しないために)
契約社員の雇い止めは、
- 単なる契約終了ではなく
- 「解雇に近い法的判断」がされる
ケースが多くあります。
特に、
- 更新回数が多い
- 長期間勤務している
- 正社員と同様の業務
といった場合は、慎重な対応が必要です。
9 弁護士へのご相談のご案内
雇い止めの可否は、個別事情によって結論が大きく異なります。
- この雇い止めは有効か?
- トラブルになるリスクは?
- どのように進めれば安全か?
など、事前の確認が極めて重要です。
結の杜総合法律事務所では、
- 企業の労務トラブル対応
- 雇い止め・解雇の適法性判断
- 就業規則・契約書の整備
について、多数の実績があります。
顧問契約により、日常的な労務相談にも迅速に対応可能です。
初回相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「【弁護士が解説】株式を相続したときの手続とは?非公開株式の名義変更・注意点をわかりやすく解説」
1 はじめに|株式の相続でよくあるご相談
「父が亡くなり、遺産に株式が含まれていました。遺産分割が終わるまでに何をすればよいのでしょうか?」
「非公開株式の名義変更はどのように行うのでしょうか?」
このように、株式の相続手続(特に非公開株式)については、一般の不動産や預貯金と異なり、会社法特有のルールがあるため、戸惑われる方が多くいらっしゃいます。
本記事では、
- 株式を相続した場合の基本ルール
- 遺産分割前に必要な対応
- 非公開株式の名義変更手続
について、弁護士がわかりやすく解説します。
2 遺産分割前の注意点|株式は「共有(準共有)」になる
相続人が複数いる場合、株式は遺産分割が完了するまでの間、相続人全員の準共有状態となります(民法264条)。
この状態では、以下の点に注意が必要です。
(1)議決権はそのまま行使できない
株式が共有状態の場合、誰か1人を「権利行使者」として指定し、会社に通知しなければ議決権を行使できません(会社法106条)。
👉 ポイント
- 相続人全員で協議して1名を選定
- 会社へ正式に通知する必要あり
(2)通知・催告の受領者も指定が必要
会社からの通知や催告の受領についても、代表者を1人指定する必要があります(会社法126条)。
(3)実務上のトラブル
- 相続人間で意見対立 → 議決権が行使できない
- 会社との連絡が滞る
- 経営権争いに発展するケース
👉 非公開株式では特に重要(経営に直結)
3 通知方法|会社または株主名簿管理人へ
通知先は会社の体制によって異なります。
- 株主名簿管理人あり → 管理人へ通知
- なし → 会社へ直接通知
👉 実務ポイント
- 内容証明郵便で通知しておくと証拠が残るため安心
- 戸籍などは別送が必要
4 非公開株式と上場株式の違い
株式相続では、以下の違いが重要です。
| 区分 | 手続の特徴 |
|---|---|
| 上場株式 | 証券会社経由で手続 |
| 非公開株式 | 会社へ直接請求 |
本記事では、トラブルが多い非公開株式に焦点を当てます。
👉 なお、譲渡制限株式でも相続(一般承継)では会社の承認は不要です。
5 株式数の確認|残高証明書の取得
遺産分割を進める前に、株式数の正確な把握が必要です。
必要な手続
会社に対して
👉 株主名簿記載事項証明書(残高証明書)を請求
主な必要書類
- 被相続人の戸籍(出生〜死亡まで)
- 相続人の戸籍
- 印鑑証明書
👉 実務ポイント
法定相続情報一覧図で代替できる場合あり
6 最重要手続|株主名簿の名義書換
株式を取得した相続人が権利を行使するためには、
👉 名義書換が必須です(会社法130条)
(1)基本的な流れ
- 遺産分割協議の成立
- 名義書換請求
- 株主名簿の変更
(2)主な提出書類
- 名義書換請求書
- 遺産分割協議書
- 戸籍一式
- 印鑑証明書
(3)注意点
- 戸籍は「出生から死亡まで」必要
- 相続人全員の関与が必要
- 書類不備で手続が止まりやすい
7 信託銀行が関与する場合の手続
株主名簿管理人が信託銀行の場合、手続は以下のようになります。
主な提出書類
- 相続による名義書換請求書
- 株主票
- 配当金振込指定書
👉 相続人が複数の場合、全員分の書類が必要
8 よくあるトラブルと対策
よくある問題
- 相続人間で意見が対立
- 株式評価でもめる
- 経営権争いに発展
対策
- 早期に専門家へ相談
- 遺産分割前に方針整理
- 税務も含めた一体対応
👉 特に非公開株式は「法律+税務」の複合問題です
9 まとめ|株式相続は早めの対応が重要
株式の相続では、
- 遺産分割前 → 権利行使者の指定
- 遺産分割後 → 名義書換
- 常に → 戸籍・書類管理
が重要となります。
特に非公開株式は、
👉 会社経営・相続税・親族関係すべてに影響する重要財産です。
10 弁護士・税理士による一体サポート
結の杜総合法律事務所では、弁護士と税理士が連携し、
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「養育費とは?相場・請求方法・増額減額のポイントを弁護士が解説〜令和6年民法改正(令和8年4月1日施行)を踏まえて」
1 はじめに
離婚を考えたとき、あるいは離婚後に生活を立て直そうとするとき、特に多いご相談の一つが「養育費はいくら請求できるのか」、「取り決めをしていないが今から請求できるのか」、「相手が支払わない場合はどうすればよいのか」という問題です。
養育費は、子どもの生活や成長のために必要な重要なお金です。もっとも、実際には、離婚時に十分な取決めがされないまま別れてしまったり、いったん合意した後に収入や家庭状況が変わってトラブルになったりすることも少なくありません。
さらに、令和6年5月成立の民法等改正により、養育費の履行確保を強化する制度として、養育費債権への先取特権や法定養育費制度が導入されることになりました。これらの改正は、令和8年4月1日から施行されます。
本コラムでは、養育費の基本、請求方法、増額・減額が問題になる場面、そして令和6年改正民法のポイントについて、わかりやすく解説します。
2 養育費とは何か
養育費とは、未成熟の子どもを監護・養育するために必要な費用をいいます。衣食住の費用だけでなく、教育費、医療費など、子どもが健やかに成長するために必要な費用が含まれます。
婚姻中は、子どもの生活費は婚姻費用の一部として問題となりますが、離婚後は、主として子を監護していない親が、主として子を監護している親に対して分担する費用として問題になります。養育費は、あくまで親同士のためのお金ではなく、子どもの利益のためのお金である点が重要です。令和6年改正法でも、父母は婚姻関係の有無にかかわらず子を扶養する責務を負うことが明確化されています。
3 養育費の相場はどのように決まるのか
養育費の金額は、実務上、裁判所で広く用いられている標準算定方式や算定表を参考に決められることが多いです。
もっとも、算定表はあくまで標準的な目安です。実際には、次のような事情によって金額が変わることがあります。
- 父母それぞれの収入
- 子どもの人数・年齢
- 私立学校への進学や大学進学の予定
- 高額な医療費の発生
- きょうだい関係や扶養家族の有無
そのため、「算定表どおりで必ず決まる」というわけではありません。
特に、私立学校の学費、塾代、予備校代、習い事の費用などは、当然に相手方へ請求できるとは限らず、個別の事情や従前の合意内容が重要になります。
4 養育費はいつからいつまで請求できるのか
(1)始期
養育費の始まりは、実務上、原則として請求した時からとされることが多いです。
そのため、離婚後に何も請求しないまま長期間経過すると、その分を後からまとめて請求することが難しくなる場合があります。
もっとも、当事者間の合意があれば、過去にさかのぼって定めることもあります。認知の事案などでは、子の出生時にさかのぼって分担が認められる場面もあります。
(2)終期
養育費の終わりは、一般に子が未成熟でなくなった時です。これは必ずしも18歳到達時と一致するとは限りません。
実務上は、「20歳まで」、「大学卒業まで」などと定める例も少なくありません。
したがって、離婚協議書や公正証書を作成する際には、終期を明確に定めておくことが重要です。曖昧な表現のままにすると、後の紛争の原因になりやすいためです。
5 離婚時に養育費を取り決めていない場合でも請求できるか
離婚時に養育費を決めていなかったとしても、離婚後に相手方へ養育費を請求することは可能です。
しかし、前述のとおり、実務上は請求時以降の分しか認められないことが多いため、早めに動くことが重要です。
また、離婚後は感情的対立が深まりやすく、任意の話合いがまとまらないことも多いため、離婚時の段階でできる限り明確に取り決めておくのが望ましいでしょう。
特に、次の点は書面で明記することをおすすめします。
- 毎月の養育費の金額
- 支払日
- 支払方法
- 終期
- 進学費用や医療費など臨時費用の分担
- 将来事情が変わった場合の協議方法
6 養育費の取決めは公正証書にしておくべきか
養育費の取決めは、口約束だけで終わらせず、離婚協議書や公正証書などの書面に残すことが非常に重要です。
特に、公正証書で強制執行認諾文言を付けておけば、相手方が支払わない場合に、将来の回収手続を進めやすくなる可能性があります。
離婚時には感情的に早く終わらせたいと考えがちですが、後日の未払いトラブルを防ぐためにも、取決め内容はできるだけ具体的にしておくべきです。
7 合意後に養育費を増額・減額できる場合
いったん養育費を合意した後でも、事情変更があれば、増額または減額が認められることがあります。
代表的な事情変更の例としては、次のようなものがあります。
- 支払う側または受け取る側の大幅な収入変動
- 再婚
- 子の養子縁組
- 新たな子の出生
- 子の進学による教育費の増大
- 監護状況の大きな変化
もっとも、事情が変われば常に増減額が認められるわけではありません。
合意当時に予想できなかった重大な事情変更か、その変更を反映しないと不公平かといった点が重要になります。
そのため、安易に「再婚したから当然に減額される」「進学したから当然に増額される」とは言えず、具体的事情を踏まえた検討が必要です。
8 子が大学・私立学校に進学した場合の養育費
子が大学や私立学校に進学すると、学費や通学費用などの負担が大きく増えることがあります。
もっとも、一般的な算定表は、通常の標準的教育費を前提としているため、私立学校の学費や大学費用、塾代、予備校代などが当然に含まれているわけではありません。
そのため、これらの費用を相手方にも分担してもらいたい場合には、
- 離婚時にあらかじめ合意しておく
- 進学先について相手方の承諾を得ておく
- 学費負担の割合を具体的に決めておく
といった対応が有効です。
特に、塾代や習い事の費用は、必要性や双方の合意の有無が重視されやすく、争いになりやすいポイントです。将来そのような支出が見込まれる場合は、早い段階で取り決めておくのが望ましいでしょう。
9 胎児についての養育費
胎児について、出生前の段階で直ちに養育費が発生するわけではありません。
もっとも、離婚時点で胎児がいる場合には、子が出生した後の養育費について、あらかじめ合意しておくことは可能です。
出産後は生活環境が大きく変わり、改めて冷静に協議することが難しくなることもありますので、将来を見据えた取り決めが有益な場合があります。
10 令和6年民法改正で養育費はどう変わるのか
令和6年5月成立の民法等改正では、子の利益を確保する観点から、養育費の履行確保に関する重要な見直しが行われました。法務省は、これらの改正を含む法律の施行日を令和8年4月1日としています。
(1)養育費債権への先取特権
改正法では、養育費債権に先取特権が付与されます。法務省の概要資料でも、これにより債務名義がなくても差押えが可能になる仕組みが示されています。
これにより、従来よりも未払い養育費の回収がしやすくなることが期待されています。
(2)法定養育費制度
改正法では、父母が養育費を取り決めないまま離婚した場合でも、一定の要件のもとで、当面の養育費を請求できる法定養育費制度が導入されます。法務省資料では、これは養育費の取決め等がされるまでの間の暫定的・補充的制度として説明されています。
また、法定養育費の額は、子1人につき月額2万円とされています。
離婚時に話合いがまとまらなかったケースでも、子どもの生活を守るための制度として注目されます。
(3)離婚後共同親権との関係
今回の改正では、養育費だけでなく、離婚後の親権の在り方も見直され、協議離婚・裁判離婚いずれの場合にも、父母双方又は一方を親権者と定める仕組みが設けられました。もっとも、親権の在り方と養育費の支払義務は別問題であり、離婚後に共同親権となる場合でも、子を主として監護していない親が養育費を分担する必要がある場面は十分にあります。
11 養育費トラブルでよくあるご相談
養育費に関しては、次のようなご相談が多く寄せられます。
- 養育費の相場が分からない
- 離婚時に決めなかったが今から請求したい
- 相手が支払わなくなった
- 再婚したので減額されるのか知りたい
- 子が大学進学予定なので増額したい
- 公正証書を作るべきか分からない
- 調停を申し立てるべきか知りたい
養育費の問題は、親同士の感情的対立が強くなりやすい一方で、最も優先すべきなのは子どもの生活と利益です。
そのため、感情論だけで進めるのではなく、法的観点と実務を踏まえて整理することが大切です。
12 離婚時・離婚後に弁護士へ相談するメリット
養育費の問題を弁護士に相談するメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 適正額の見通しを立てやすい
- 事情変更による増額・減額の可能性を判断できる
- 公正証書や合意書の条項を具体的に整えられる
- 調停・審判・訴訟など適切な手続を選択できる
- 未払いが生じた場合の回収方法まで見据えられる
特に、「とりあえず話し合いだけで済ませよう」として曖昧な合意をしてしまうと、後から大きな紛争になることが少なくありません。
早い段階で相談しておくことが、結果的に子どもの生活を守ることにつながります。
13 まとめ
養育費は、子どもの健やかな成長のために欠かせない重要な制度です。
離婚時に明確な取決めをしておくことが望ましいのはもちろんですが、離婚後であっても請求や見直しが可能な場合があります。
また、令和6年民法改正により、養育費の未払いに対する履行確保制度が強化され、法定養育費制度も導入されました(令和8年4月1日施行)。
養育費でお悩みの方は、「いくら請求できるのか」、「今からでも請求できるのか」、「支払われない場合にどうすればよいのか」を早めに整理することが大切です。
結の杜総合法律事務所では、養育費請求、養育費の増額・減額、離婚協議書・公正証書の作成、離婚調停・審判などについて、弁護士が丁寧にご説明しております。
仙台・宮城で養育費や離婚問題にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「【弁護士が解説】自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違いとは?費用・基準・選ばれるケースをわかりやすく解説」
1 はじめに(自己破産を検討している方へ)
自己破産を検討されている方から、
- 「同時廃止と管財事件って何が違うの?」
- 「自分はどちらになるの?」
- 「費用はどのくらい違うの?」
といったご相談を多くいただきます。
自己破産には、大きく分けて「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、どちらになるかによって、
- 費用
- 手続の期間
- 手続の負担
が大きく異なります。
本コラムでは、同時廃止と管財事件の違い・振り分け基準・費用の目安について、弁護士がわかりやすく解説します。
2 同時廃止とは(費用が安く、手続が簡単なケース)
■ 同時廃止の概要
「同時廃止」とは、財産がほとんどない場合に、破産手続開始と同時に手続が終了する制度です。
裁判所は、破産財産で手続費用を賄えないと判断した場合、破産開始と同時に廃止決定を行います(破産法216条1項)。
■ 同時廃止の特徴
- 破産管財人が選任されない
- 財産の換価・配当が行われない
- 比較的短期間で終了
- 手続の負担が軽い
■ 費用の目安(重要)
- 裁判所への予納金:約1万~2万円程度
👉 管財事件と比べて圧倒的に低コスト
■ 同時廃止になる典型例
- 財産がほとんどない
- 現金・預金が少額
- 不動産を所有していない
- 免責に問題がない(浪費・ギャンブルがない等)
👉 個人の自己破産の多くはこの類型です。
3 管財事件とは(調査・処分が必要なケース)
■ 管財事件の概要
「管財事件」とは、破産管財人が選任され、財産調査や処分を行う手続です。
■ 管財事件の特徴
- 破産管財人が選任される
- 財産の調査・換価が行われる
- 債権者への配当が検討される
- 手続が長期化することがある
■ 費用の目安(非常に重要)
- 通常:50万円以上
- 高額案件:80万~150万円程度
- 東京地裁の少額管財:20万円~
- 仙台地裁の簡易管財:10万円〜
👉 同時廃止との最大の違いは「費用」
4 同時廃止と管財事件の違い【比較】
| 項目 | 同時廃止 | 管財事件 |
|---|---|---|
| 管財人 | なし | あり |
| 費用 | 約1~2万円 | 約10万~150万円 |
| 手続期間 | 短い | 長い |
| 財産処分 | なし | あり |
| 調査 | 最小限 | 詳細に実施 |
5 どちらになるかの判断基準(重要ポイント)
■ 主な判断要素
以下の事情により振り分けられます。
(1)財産の有無
- 不動産がある → 管財事件になりやすい
- 保険解約返戻金が高額 → 管財事件
(2)問題のある行為(免責調査)
- 浪費・ギャンブル
- 偏った返済(偏頗弁済)
- クレジットの現金化
👉 これらがあると管財事件になりやすい
(3)回収できる可能性のある財産
- 過払い金請求
- 不当利得返還請求
(4)事業者・高額負債
- 個人事業主
- 負債額が大きい
- 債権者が多数
6 裁判所による運用の違い(実務上の重要ポイント)
実務では、裁判所ごとに運用が異なります。
■ 東京地裁の基準(代表例)
- 現金33万円以下 → 同時廃止の可能性
- それ以上 → 管財事件の可能性
■ 不動産がある場合
多くの裁判所では、
👉 価値が低くても不動産があると管財事件
とされる傾向があります。
■ 近時の重要判断(実務に影響)
不動産の価値がほとんどない場合には、実質的に同時廃止を認める判断も出ています。
👉 形式ではなく「実質判断」が重視される流れ
7 管財事件になる具体的なケース
特に以下のような場合は、管財事件になりやすいです。
- 不動産を所有している
- 保険・退職金が一定額以上ある
- ギャンブル・浪費がある
- 偏った返済をしている
- 個人事業を営んでいる
8 破産管財人の主な業務
管財事件では、管財人が以下を行います。
- 財産調査(通帳・帳簿など)
- 郵便物の管理
- 不動産売却などの換価
- 債権調査・配当
- 免責に関する意見提出
👉 「本当に免責してよいか」をチェックする役割
9 よくある質問
Q できるだけ費用を抑えたい場合は?
👉 同時廃止になるかどうかが重要です。
事前の準備や申立内容によって変わるため、弁護士相談が不可欠です。
Q 自分がどちらになるか分かりますか?
👉 財産状況・借金の経緯によって判断されます。
初回相談である程度の見通しを説明可能です。
10 まとめ(重要ポイント)
- 自己破産には「同時廃止」と「管財事件」がある
- 最大の違いは費用と手続の重さ
- 不動産・問題行為があると管財事件になりやすい
- 判断は裁判所・事案ごとに異なる
11 弁護士への相談が重要な理由
自己破産では、
- 手続の種類の見極め
- 費用の見通し
- 不利にならない申立方法
が極めて重要です。
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コラム「上司からのセクハラ・パワハラに会社が対応しない場合の対処法|弁護士が解説」
【はじめに】
「上司からのセクハラやパワハラに悩んでいるが、会社が対応してくれない」
「会社に相談したら逆に不利益を受けないか不安」
このようなご相談は、近年非常に増えています。
本記事では、
✔ セクハラ・パワハラの法的定義
✔ 会社に対応を求める方法
✔ 会社が対応しない場合の対処法
✔ 慰謝料請求や裁判の可能性
について、弁護士がわかりやすく解説します。
【セクハラ】上司からの性的言動への対処法
1 セクハラとは(法律上の定義)
職場におけるセクハラは、主に以下の2種類に分類されます。
■ 対価型セクハラ
拒否したことで不利益を受けるケース
(例:降格・解雇・契約更新拒否)
■ 環境型セクハラ
職場環境が著しく悪化するケース
(例:性的発言・身体接触・不快な言動)
👉 ポイント
会社には防止措置義務(男女雇用機会均等法)があります。
2 会社に対応を求める具体的な方法
セクハラ被害を受けた場合、次の流れで対応することが重要です。
✔ STEP1 証拠を確保
- LINE・メール・録音
- 日時・内容のメモ
✔ STEP2 社内窓口へ相談
- 人事部
- ハラスメント相談窓口
✔ STEP3 書面で正式に対応要求
👉 ここが極めて重要(証拠化)
3 会社に求められる対応(義務)
会社は以下の対応を行う義務があります。
- 事実関係の調査
- 被害者の保護(配置転換など)
- 加害者の処分
- 再発防止策
👉 対応しない場合は違法となる可能性があります。
4 会社が対応しない場合の対処法
- 労働局(雇用均等室)への相談
- 労働審判の申立て
- 慰謝料請求(訴訟)
【パワハラ】上司からの精神的・身体的圧力への対処法
1 パワハラとは
法律上、以下の3要件を満たすものをいいます。
- 優越的関係を背景
- 業務上必要な範囲を超える
- 就業環境が害される
2 代表的な6類型(厚労省)
パワハラは主に以下の類型があります。
- 身体的攻撃(暴行)
- 精神的攻撃(暴言・侮辱)
- 無視・孤立
- 過大な要求
- 過小な要求
- プライバシー侵害
👉 これ以外でもパワハラと認定される可能性があります。
3 会社に対応を求める方法
セクハラと同様に、
- 証拠収集
- 社内相談
- 書面による要求
が重要です。
4 会社の対応義務
会社には以下の義務があります。
- 調査義務
- 被害者保護義務
- 加害者処分
- 再発防止
👉 放置すれば会社の責任が問われます。
5 近年増えている注意点(ファイトバックケース)
加害者が「処分が重すぎる」と争うケースも増えています。
👉 会社は慎重な判断が必要です。
【マタハラ・育休ハラスメント】も違法です
以下のようなケースも違法です。
- 妊娠を理由に降格
- 育休取得で嫌がらせ
- 復職後の不利益配置
👉 法律で明確に禁止されています。
【会社と上司の責任】慰謝料請求できるケース
■ 上司の責任(民法709条)
人格権侵害 → 不法行為
■ 会社の責任(民法715条)
使用者責任が成立
👉 被害者は
上司・会社の両方に請求可能
■ 実務上のポイント
- 会社の方が支払能力が高い
- まずは両方に請求するのが有効
【弁護士に相談すべきタイミング】
以下の場合は早期相談をおすすめします。
- 会社が動かない
- 退職を検討している
- 精神的に限界
- 証拠の整理ができない
👉 早期対応で結果が大きく変わります
【まとめ】
- セクハラ・パワハラは法律で規制されている
- 会社には対応義務がある
- 対応しない場合は法的手段が可能
- 慰謝料請求も視野に入る
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結の杜総合法律事務所では、
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「会社に対するインターネット上の誹謗中傷にはどのように対応すべきか(口コミ・掲示板・SNSの誹謗中傷への法的対応)」
1 はじめに
近年、Google口コミ、SNS、掲示板サイト、口コミサイトなどにおいて、企業や店舗に対する誹謗中傷の投稿が増加しています。
例えば、
- 「この会社は詐欺会社だ」
- 「この会社の商品は危険だ」
- 「ブラック企業なので絶対に働かない方がよい」
といった投稿がされると、企業の信用やブランドイメージが大きく毀損されるおそれがあります。
もっとも、インターネット上の投稿には表現の自由があるため、すべての投稿が違法になるわけではありません。
そのため、誹謗中傷を発見した場合には、まず
- 法的に違法な投稿なのか
- 削除請求や投稿者特定が可能なのか
を慎重に検討する必要があります。
本コラムでは、会社に対するインターネット上の誹謗中傷への対応方法について、法律上のポイントを解説します。
2 企業に対する誹謗中傷は「名誉毀損」に該当する可能性
会社に対する誹謗中傷の場合、主に問題となるのは名誉毀損(信用毀損)です。
個人の場合には
- 名誉権
- プライバシー権
- 名誉感情
などが問題になりますが、法人の場合は基本的に名誉感情やプライバシーは問題となりません。
したがって、会社に対する誹謗中傷では社会的評価を低下させる投稿かどうかが重要な判断ポイントになります。
3 名誉毀損の判断基準
刑法では、
- 事実を摘示して名誉を毀損した場合
→ 名誉毀損罪(刑法230条) - 事実を示さなくても侮辱した場合
→ 侮辱罪(刑法231条)
が成立する可能性があります。
ここでいう「人」には、法人(会社)も含まれるとされています(大審院大正15年3月24日判決)。
また裁判所は、
社会から受ける客観的評価を違法に侵害された者は、損害賠償請求や名誉回復措置を求めることができる
と判示しています(最判昭61・6・11)。
そのため企業の担当者としては、その投稿が会社の社会的評価を低下させる内容かどうかを検討する必要があります。
なお、この判断は
一般の閲覧者の普通の注意と読み方
を基準として判断されます(最判昭31・7・20、最判平24・3・23)。
4 事実の摘示か、意見・論評か
誹謗中傷の投稿には大きく分けて
① 事実の摘示
② 意見・論評
の2種類があります。
裁判例では、
社会的評価を低下させるものであれば、事実の摘示か意見・論評かを問わず名誉毀損は成立し得る
とされています(最判平9・9・9)。
例えば、
事実摘示の例
- 「この会社は違法行為をしている」
- 「この会社の商品は不良品ばかり」
意見・論評の例
- 「この会社は信用できない」
- 「この会社の商品はひどい」
このような場合でも、社会的評価を低下させる投稿であれば違法と判断される可能性があります。
5 商品の品質に関する投稿も信用毀損になり得る
企業に関する投稿では、商品の品質やサービス内容についての書き込みが問題になることもあります。
最高裁判所は、
商品の品質に対する社会的信頼も刑法233条の「信用」に含まれる
と判断しています(最判平成15年3月11日)。
また裁判例では、
LED製品の製造環境を問題視する投稿について
製品の品質が低いとの印象を与え、会社の信用を毀損する
として名誉毀損を認めています(徳島地裁令和2年2月17日)。
そのため
- 商品の品質
- サービス内容
- 衛生状態
などに関する虚偽投稿も、信用毀損として違法となる可能性があります。
6 投稿内容が真実である場合の注意点
投稿が会社の評価を低下させる内容であっても、
- 公共の利害に関する事実
- 公益目的
- 内容が真実
である場合には、違法にならない可能性があります。
これを「真実性の抗弁」といいます。
さらに
- 真実と信じる合理的理由がある場合
には「真実相当性」が認められる可能性があります(最判昭41・6・23、最判昭58・10・20)。
そのため企業としては、まず
- 投稿内容が事実かどうか
- 社内に証拠があるか
を慎重に調査する必要があります。
7 匿名投稿の場合の対応(発信者情報開示請求)
多くの誹謗中傷は匿名で投稿されています。
この場合、発信者情報開示請求という手続を利用して投稿者を特定することになります。
この制度は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通対処法)」に基づくものです。
発信者情報開示請求が認められるためには
- 権利侵害が明らかであること
が必要とされています。
そのため
- 投稿が違法であること
- 投稿が真実ではないこと
を企業側で主張・立証する必要があります。
8 削除請求・投稿者特定の判断ポイント
誹謗中傷投稿への対応では、次の点を総合的に検討することが重要です。
① 投稿内容の違法性
- 社会的評価を低下させるか
- 事実か意見か
② 投稿内容の真実性
- 事実かどうか
- 社内資料で裏付けできるか
③ 投稿者が匿名かどうか
- 投稿者特定の必要性
- 削除請求の可否
④ 証拠資料の有無
- 社内資料
- 契約書
- メール
- 録音等
など証拠の有無は対応方針を決める重要な要素になります。
9 企業がとるべき誹謗中傷対策
インターネット上の誹謗中傷に対しては、
- 投稿削除請求
- 発信者情報開示請求
- 損害賠償請求
- 慰謝料請求
- 刑事告訴
などの法的手段をとることが可能です。
もっとも、投稿内容によっては
- 逆に企業側が批判される
- いわゆる炎上につながる
といったリスクもあるため、専門家による慎重な判断が重要です。
10 インターネット誹謗中傷でお困りの企業様へ
結の杜総合法律事務所では、
- インターネット上の誹謗中傷
- 口コミサイトの削除請求
- 発信者情報開示請求
- 投稿者への損害賠償請求
など、企業のインターネットトラブルに関する法的サポートを行っております。
また、継続的にインターネットリスク対策を行いたい企業様には、顧問契約による継続サポートもご案内しております。
ご相談の際には、弁護士が事案ごとに丁寧にご説明いたします。
内容をご理解・ご納得いただいた上でご依頼いただけますのでご安心ください。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害でお困りの企業様は、まずはお気軽に結の杜総合法律事務所までお問い合わせください。
宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「相続した空き家の管理・売却で注意すべきポイントとは?相続空き家問題・特定空き家・相続放棄などを弁護士が解説」
【はじめに】
近年、「親が亡くなり実家が空き家になった」「相続した家の管理に困っている」といったご相談が増えています。
空き家は、適切に管理しない場合、
- 倒壊や火災などの事故
- 近隣トラブル
- 固定資産税の増額
- 行政からの指導や強制解体
などのリスクが生じることがあります。
また、相続人が複数いる場合には、共有関係・管理責任・相続登記・売却方法など、法律的に注意すべき点が多く存在します。
そこで本コラムでは、相続財産に空き家がある場合の管理方法・法的リスク・承継方法について、弁護士がわかりやすく解説します。
1 相続した空き家の管理方法
(1)空き家とは何か
「空家等」とは、居住その他の使用がなされていない状態が常態である建物およびその敷地をいいます(空家等対策の推進に関する特別措置法2条1項)。
一般的には、概ね1年間利用されていない状態が一つの目安とされています。
空き家の所有者又は管理者は、周辺環境に悪影響を与えないよう適切に管理する義務があります(同法5条)。
(2)相続人が複数いる場合の管理
被相続人が死亡した場合、空き家は相続財産となります。
相続人が複数いる場合、遺産分割が完了するまでの間は相続人全員の共有財産となります(民法898条)。
この場合の行為は次のように区分されます。
①保存行為(単独で可能)
各相続人は単独で行うことができます(民法252条)。
例
・空き家の簡易修繕
・庭木の剪定
・雑草除去
・固定資産税の支払い
・不法占拠者への明渡請求
②管理行為(持分の過半数で決定)
例
・空き家を誰が使用するかの決定
・軽微な改修
③変更・処分行為(相続人全員の同意)
例
・空き家の売却
・賃貸
・大規模修繕
・建物の解体
(3)空き家管理の重要性
空き家は人が住まない状態が続くと、急速に劣化します。
また
・放火
・窃盗
・不法侵入
などの犯罪リスクも高まります。
さらに、空き家の管理が不十分で第三者に損害が生じた場合、所有者は工作物責任(民法717条)を負う可能性があります。
そのため
・定期的な見回り
・清掃
・修繕
などを行う必要があります。
遠方に住んでいる場合は、空き家管理業者への委託も検討すべきでしょう。
2 「特定空き家」に指定されるリスク
空き家の中でも、次のような状態にあるものは
「特定空家等」に指定される可能性があります。
・倒壊の危険
・衛生上有害
・著しく景観を損なう
・周辺生活環境に悪影響
(空家等対策特別措置法2条2項)
指定されると、自治体から
・助言
・指導
・勧告
・命令
が出されることがあります。
さらに改善されない場合には
・過料
・行政代執行(強制解体)
が行われる可能性があります。
解体費用は所有者負担となるため注意が必要です。
また勧告を受けると
固定資産税の住宅用地特例が解除される
可能性があり、固定資産税が最大6倍程度に増えるケースもあります。
3 空き家を相続放棄する場合の注意点
空き家の管理負担や費用を考えると、相続放棄を検討するケースもあります。
ただし注意が必要です。
相続放棄をした場合でも、放棄時に空き家を占有している場合には次の管理者へ引き渡すまで保存義務を負います(民法940条)。
つまり
・建物の最低限の管理
・損壊防止
などの義務が残ることがあります。
4 相続人の所在が不明な場合
【不在者財産管理人】
相続人の所在が分からない場合には、家庭裁判所に
不在者財産管理人の選任
を申し立てることができます(民法25条)。
管理人は
・空き家の管理
・裁判所の許可を得た売却
などを行うことができます。
5 相続人がいない場合
【相続財産清算人】
相続人全員が相続放棄した場合やそもそも相続人がいない場合には、家庭裁判所に
相続財産清算人の選任申立て
を行うことができます(民法952条)。
清算人は
・空き家の管理
・売却
・債務整理
などを行い、最終的には財産を国庫に帰属させます。
6 所有者不明建物管理制度
近年の民法改正により
・所有者不明建物管理制度
・管理不全建物管理制度
などが創設されました。
これにより
・所有者不明の空き家
・管理不全の空き家
について、裁判所が管理人を選任し、適切な管理や処分を行うことが可能となっています。
7 空き家の評価
空き家の評価は基本的には通常の不動産評価と同様です。
もっとも
・老朽化
・解体費用
・立地
などにより
実質的に価値がない
と評価される場合もあります。
そのため、相続人間で合意して評価を決めるケースも少なくありません。
8 空き家の相続登記(義務化)
相続により空き家を取得した場合、相続登記が必要です。
2024年4月から相続登記は義務化されています。
期限内に登記しない場合には過料が科される可能性があります。
9 空き家売却時の3000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと
譲渡所得から最大3000万円の特別控除
を受けることができます。
主な要件
・被相続人が居住していた家屋
・相続開始から3年以内の売却
・耐震基準を満たす(又は解体)
などです(租税特別措置法35条)。
適用期限は令和9年12月31日までです。
【まとめ】相続した空き家は早期対応が重要
相続した空き家は
・管理責任
・固定資産税
・近隣トラブル
・特定空き家指定
など、さまざまなリスクがあります。
そのため早期に
・売却
・解体
・賃貸
・相続放棄
などを検討することが重要です。
空き家相続・不動産相続のご相談は結の杜総合法律事務所へ
結の杜総合法律事務所では
・相続問題
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・遺産分割
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などのご相談を多数取り扱っています。
当事務所は弁護士法人と税理士法人を併設している東北でも数少ない事務所であり、弁護士と税理士が連携して
・相続手続
・相続税対策
・不動産売却
まで一体的にサポートしております。
まずはお気軽にご相談ください。
宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「検察官がする事件処理とは?起訴・不起訴・略式命令の違いを弁護士が解説」
「家族が逮捕された後、これからどうなるのか?」
「不起訴になる可能性はあるのか?」
「略式命令とは何か?」
刑事事件では、警察の捜査後、事件は検察官に送致されます。
その後の判断を行うのが検察官です。
本コラムでは、検察官が行う事件処理の種類と流れについて、仙台の弁護士がわかりやすく解説します。
1 検察官の事件処理とは何か
刑事事件は、原則として警察から検察官へ送致されます(刑事訴訟法246条)。
検察官は、
- 追加捜査を行う(同法191条1項)
- 証拠を精査する
- 起訴するかどうかを判断する
という役割を担っています。
この一連の判断を「事件処理」といいます。
事件処理は大きく
- ✅ 終局処分(起訴・不起訴)
- ✅ 中間処分(中止・移送)
に分かれます。
2 中間処分とは(中止・移送)
(1)中止処分
以下のような場合に、いったん処理を見合わせます。
- 犯人が不明
- 被疑者の所在不明
- 長期入院などで捜査不能
将来の処分を見据えた暫定措置です。
(2)移送処分(他管送致)
事件の管轄が他の検察庁にある場合、管轄庁へ送致されます(刑訴法258条)。
3 終局処分とは(起訴・不起訴)
(1)起訴とは
検察官が裁判を求める処分です。
判断にあたっては、
- 公訴時効の有無
- 犯罪の成立要件
- 証拠の十分性
- 処罰の必要性(刑訴法248条)
などを総合的に検討します。
(2)不起訴とは
裁判を起こさない処分です。
主な種類は:
- 嫌疑なし
- 嫌疑不十分
- 罪とならず
- 心神喪失
- 起訴猶予
特に多いのが起訴猶予です。
これは犯罪の成立は認められるが、事情を考慮して起訴しない場合です。
👉 早期に弁護士が活動することで不起訴の可能性が高まるケースもあります。
4 略式命令とは?(約8割がこの手続)
比較的軽微な事件では、正式裁判をせずに処理されることがあります。
これが略式命令請求(刑訴法461条)です。
特徴
- 書面審理のみ
- 100万円以下の罰金・科料
- 被疑者の同意が必要
- 正式裁判の請求が可能(14日以内)
実際には、起訴事件の約8割が略式手続で処理されています。
⚠ 正式裁判を請求すると、より重い刑になる可能性もあります。
5 少年事件の場合
少年事件は、原則として家庭裁判所に送致されます(少年法42条)。
ただし、
- 家庭裁判所が刑事処分相当と判断した場合
- 検察官は原則起訴しなければならない
という例外もあります(少年法45条)。
6 心神喪失・医療観察制度
心神喪失などが認められ不起訴となった場合でも、「医療観察法」に基づき地方裁判所へ入院決定の申立てがなされることがあります。
刑事責任とは別に、医療的対応が検討される制度です。
7 処分結果の通知制度
(1)被疑者への通知
不起訴の場合、請求があれば通知されます(刑訴法259条)。
(2)告訴人・告発人への通知
起訴・不起訴の結果は通知義務があります(刑訴法260条)。
不起訴理由の告知請求も可能です(261条)。
(3)不服申立て制度
- 付審判請求
- 検察審査会申立て
- 上級庁への申立て
などの制度があります。
8 被害者等通知制度
1999年から導入された制度で、
- 処分結果
- 公判期日
- 判決結果
などを通知してもらうことが可能です。
刑事事件でお困りの方へ【仙台の弁護士に早期相談を】
刑事事件では、検察官送致後の対応が極めて重要です。
- 不起訴を目指したい
- 起訴猶予の可能性を高めたい
- 早期釈放を目指したい
- 略式命令に同意すべきか迷っている
このような場合は、できる限り早く弁護士にご相談ください。
結の杜総合法律事務所の刑事弁護
- ✅ 逮捕直後の迅速対応
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コラム「【消滅時効の完成猶予と更新とは?】― 催告6か月の落とし穴と、確実に時効を止める方法を弁護士が解説 ―」
1 時効が迫っている!どうすればよいか?
「売掛金を整理していたら、消滅時効まであと3か月しかない債権が見つかった」
「請求書は送っているが、法的手続はしていない」
「催告を出せば安心だと思っている」
このようなご相談は、企業法務・債権回収の現場で非常に多く見られます。
✅ 結論
- 催告(内容証明郵便など)だけでは6か月しか延命できません
- 6か月以内に訴訟・支払督促等をしなければ時効は完成します
- 確定判決等を取得して初めて「時効の更新(リセット)」が生じます
本記事では、改正民法(令和2年施行)に基づく「完成猶予」と「更新」の違いを、実務目線でわかりやすく解説します。
2 改正民法で何が変わった?「中断」はなくなった
平成29年改正民法により、従来の
- 時効の「中断」
- 時効の「停止」
という用語は廃止され、次の2つに整理されました。
| 用語 | 意味 | 効果 |
|---|---|---|
| 完成猶予 | 一定期間、時効が完成しない | 時効は進行中 |
| 更新 | 時効がゼロから再スタート | 完全リセット |
👉 実務上、最も重要なのは「猶予」と「更新」の違いを誤解しないことです。
3 時効の「完成猶予」とは?
(1)催告(民150条)
もっとも多いのが「裁判外の催告」です。
- 内容証明郵便などで請求
- 効果:6か月間のみ時効完成をストップ
⚠ 注意
再度の催告には完成猶予の効力はありません(民150②)。
つまり、
催告 → 6か月以内に訴訟等をしない → 時効完成
となります。
「催告すれば安心」は大きな誤解です。
(2)仮差押え・仮処分(民149条)
- 手続終了後6か月間のみ完成猶予
- それ自体では「更新」にならない
⚠ 保全手続をしただけで安心していると、時効が完成する危険があります。
(3)裁判上の請求・支払督促等(民147条)
以下の手続を取ると、
- 手続終了まで時効は完成しない
- 却下・取下げの場合は終了から6か月猶予
対象例:
- 訴訟提起
- 支払督促
- 調停
- 即決和解
- 破産手続参加
(4)強制執行等(民148条)
- 強制執行
- 担保権実行
- 財産開示手続
- 第三者からの情報取得
も同様の扱いです。
4 時効の「更新」とは?(完全リセット)
更新とは、
時効期間がゼロから再スタートすること
をいいます。
(1)確定判決等の取得(民147②)
裁判上の請求により、
- 確定判決
- 和解調書
- 認諾調書
- 調停調書
- 仲裁判断確定
などで権利が確定すると、時効は更新します。
さらに重要なのは、
✅ 更新後の時効期間は原則10年(民169条)
となる点です。
(2)強制執行終了時(民148②)
強制執行が通常終了すれば更新します。
(3)債務の承認(民152条)
- 一部弁済
- 債務承認書の提出
- 分割払い合意
などは直ちに更新事由になります。
🔎 最高裁令和2年12月15日判決
弁済充当指定のない一部弁済は、原則として全債務の承認となると判断。
5 実務で特に注意すべきポイント
① 催告だけでは不十分
→ 6か月以内に訴訟等が必須
② 保全手続は更新にならない
→ 本案提起を忘れると危険
③ 一部請求の残部に注意
→ 残部の時効が完成する可能性あり(最判平成25年6月6日)
④ 時効の効力は相対的
→ ただし、主債務者と保証人の関係に注意(民457条)
6 企業法務・債権回収での実践対応
次のような場合は、すぐに弁護士へ相談すべきタイミングです。
- 売掛金の時効が迫っている
- 取引先が支払いを先延ばしにしている
- 催告だけで様子を見ている
- 一部請求で提訴を検討している
- 仮差押え後の対応に不安がある
時効が完成してしまえば、原則として請求できなくなります。
早期対応が最大のリスク回避策です。
7 まとめ
| 行為 | 完成猶予 | 更新 |
|---|---|---|
| 催告 | 〇(6か月) | ✕ |
| 仮差押え | 〇 | ✕ |
| 訴訟提起 | 〇 | 確定で〇 |
| 強制執行 | 〇 | 終了で〇 |
| 承認 | ― | 〇 |
👉 確実に時効を止めたいなら「更新」まで到達することが重要です。
8 債権回収のご相談は結の杜総合法律事務所へ
結の杜総合法律事務所では、
- 売掛金・貸金回収
- 支払督促・訴訟提起
- 仮差押え・強制執行
- 承認書作成
- 時効管理体制の構築支援
まで、企業様の状況に応じて戦略的に対応しております。
✅ 費用は事前に明確にご説明
✅ 無理な勧誘は一切ありません
✅ 仙台・宮城の企業法務に強い法律事務所
時効が迫っている場合は特にお急ぎください。
宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
コラム「【仙台の弁護士が解説】遺言無効の訴えとは?手続・判例・遺留分との関係をわかりやすく解説」
「この遺言書は本当に有効なのか?」
「認知症だった親の遺言を争うことはできるのか?」
「公正証書遺言でも無効になることがあるのか?」
相続の現場では、遺言の有効性をめぐる争い(遺言無効確認訴訟)が少なくありません。
本記事では、
- 遺言が無効になるケース
- 遺言無効確認の訴えの手続
- 被告の選び方
- 立証責任
- 遺留分侵害額請求との関係
について、判例を踏まえて解説します。
仙台・宮城で相続問題にお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
1 遺言が無効になる場合とは?
(1)遺言は原則として尊重される
遺言は、遺言者の最終意思を尊重する制度です。
有効な遺言があれば、原則としてその内容どおりに遺産は承継されます。
しかし、一定の場合には遺言そのものが無効となります。
(2)方式違反による無効
遺言は「要式行為」です。
法律(民法960条以下)で定められた方式を守らなければなりません。
例えば、自筆証書遺言の場合、
- 全文自書
- 日付の自書
- 氏名の自書
- 押印
が必要です。
これらを欠く場合、遺言は無効となります。
(3)遺言能力の欠如(民法963条)
遺言作成時に遺言能力(事理弁識能力)がなければ、遺言は無効です。
典型例:
- 重度の認知症
- 意識障害
- 精神疾患による判断能力の欠如
もっとも、「認知症=直ちに無効」ではありません。
診断書、カルテ、介護記録、作成経緯などを総合的に判断します。
実務上、最も争いが多いのがこの「遺言能力」の問題です。
(4)その他の無効原因
- 公序良俗違反
- 詐欺・強迫
- 証人の欠格事由
- 受遺者の先死亡
- 民法総則による無効・取消事由
2 遺言無効確認の訴えとは?
遺言の有効性に争いがあり、話し合いで解決できない場合、最終的には遺言無効確認の訴え(民事訴訟)を提起します。
(1)まずは調停から
いきなり訴訟ではなく、
- 遺言無効確認調停
- 遺産分割調停
から開始することもあります。
しかし、当事者の主張が鋭く対立している場合は、訴訟による解決が必要になります。
(2)誰が原告になれるか?
遺言の無効を主張する者が原告になります。
「すでに生前贈与を受けており、法定相続分がない場合でも訴えられるのか?」
この点について、最高裁(最判昭56年9月11日)は、確認の利益は遺言内容で判断すれば足りるとして、原告適格を認めています。
したがって、生前贈与を受けていても原告になることは可能です。
(3)誰を被告にするべきか?
実務上重要なポイントです。
原則:
- 遺言により利益を受ける受遺者
が被告になります。
最高裁(最判昭56年9月11日)は、単なる相続分指定などの場合は固有必要的共同訴訟にはならない(共同相続人全員を被告とする必要はない)と判示しています。
もっとも、遺産確認を求める場合(最判平成元年3月28日)は、共同相続人全員を当事者とすべきとされています。
遺言内容により判断が分かれるため、専門的検討が不可欠です。
(4)遺言執行者を被告にできるか?
最高裁(最判昭31年9月18日)は、遺言執行者を被告として無効を争うことを認めています。
ただし、既に所有権移転登記がなされている場合は、受遺者を被告とすべきとされています(最判昭51年7月19日)。
(5)立証責任の分配
非常に重要なポイントです。
■ 遺言の方式遵守
→ 遺言が有効と主張する側が立証責任(最判昭62年10月8日)
■ 遺言能力の欠如など
→ 無効を主張する原告側が立証責任
遺言能力の立証では、
- 医療記録
- 介護記録
- 証人尋問
- 作成経緯
などを総合的に主張立証します。
3 遺言無効と遺留分侵害額請求の関係【最重要ポイント】
(1)必ず遺留分請求を並行して検討すべき理由
遺言無効確認訴訟は、長期化することが少なくありません。
しかし、遺留分侵害額請求には、「相続開始および侵害を知った時から1年」という短い消滅時効(民法1048条)があります。
訴訟中に時効が完成してしまうリスクがあるのです。
したがって、
✔ 遺言無効を争う
✔ 同時に遺留分侵害額請求の意思表示を行う
ことが極めて重要です。
実務では、内容証明郵便で通知するのが安全です。
(2)同一訴訟で予備的請求を入れるべきか?
理論上は可能ですが、実務上は推奨されません。
理由:
- 争点が複雑化する
- 訴訟が長期化する
- 裁判所の審理が混乱する
通常は、
① 遺言無効訴訟
② 必要に応じて遺留分訴訟
と段階的に進める方が合理的です。
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
