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コラム「従業員を懲戒処分するには?手続や注意点を弁護士が解説」

2025-07-25

「従業員に非違行為が見られる場合、会社として懲戒処分を行いたいと考えています。どのような手続を踏むべきでしょうか?」
このようなお悩みをお持ちの企業・事業主の方は多くいらっしゃいます。

この記事では、従業員を懲戒処分するための手続やポイント、関連する判例などについて、弁護士がわかりやすく解説します。


1.懲戒処分には「就業規則」が必要です

従業員を懲戒処分するには、まず就業規則に懲戒の根拠が明記されていることが必要です。具体的には、次の2点が明示されている必要があります。

  • 懲戒の種類(けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇など)
  • 懲戒の事由(どのような行為が懲戒の対象となるか)

就業規則上の「限定列挙」が重要

就業規則に定められた懲戒事由は、限定列挙と解されるのが一般的です。すなわち、明記された事由に該当しなければ、原則として懲戒できません。

実務上、「その他これらに準じる行為」などの包括条項を設けているケースもありますが、これは罪刑法定主義に類似する原則に照らして好ましくないとされています。
判例(最判昭和54年10月30日〔国鉄札幌運転区事件〕)も、懲戒処分は就業規則に基づいて行う必要があることを明確にしています。

就業規則の整備は経営リスク対策

中小企業では、就業規則が不十分であるケースも少なくありません。特に懲戒事由が曖昧であったり数が少ない場合、懲戒処分が無効とされるリスクがあります。
懲戒処分の正当性を確保するためにも、就業規則の見直しや整備は非常に重要です。


2.懲戒処分には「相当性」が必要です

労働契約法第15条では、懲戒処分が「社会通念上相当と認められない場合」は無効とされます。つまり、非違行為の内容に対して処分が重すぎる場合、無効と判断される可能性があるのです。

判例にみる「相当性」の判断

  • 懲戒解雇が無効とされた例:
    • ネスレ日本事件(最判平成18年10月6日)
    • 三井記念病院事件(東京地判平成22年2月9日)
    • 群馬大学事件(前橋地判平成29年10月4日)
  • 懲戒解雇が有効とされた例:
    • みずほ銀行事件(東京地判令和2年1月29日)

懲戒処分の有効性は、非違行為の内容、従業員の勤務状況、過去の処分歴など多角的に判断されます。


3.従来黙認していた行為を処分する場合の注意点

過去に同様の行為を黙認していたにもかかわらず、急に懲戒処分を行うことは「公平性」や「平等取扱い原則」に反するとされ、無効となる可能性があります。

このような場合には、事前に注意喚起・警告を行い、ルールを明確にすることが必要です。


4.懲戒処分の前に「弁明の機会」を与えることが重要

懲戒処分の前には、従業員に対して十分な弁明の機会を与えることが必要不可欠です。

  • 懲戒委員会や労働組合との協議を必要とする旨が就業規則に記載されている場合は、その定めに従う必要があります。
  • 就業規則に明記がない場合でも、最低限の手続保障として、本人への聞き取り・意見聴取を行うべきです。

裁判例:テトラ・コミュニケーション事件(東京地判令和3年9月7日)では、弁明の機会を与えなかったけん責処分が無効とされ、慰謝料等の支払が命じられました。


5.同じ行為について繰り返し懲戒処分はできません

懲戒処分には、「一事不再理」の原則(同じ行為について再度処分することは不可)が適用されると解されています。
刑事罰と同様、懲戒処分も「制裁」である以上、同一の事実に対して複数回の処分を科すことはできません。

ただし、懲戒処分歴をもとに評価制度上の降格処分を行うことは、この原則に違反しません(最判平成27年2月26日:海遊館事件)。


まとめ|懲戒処分を行う際の注意点

ポイント内容
就業規則の整備懲戒の種類と事由を具体的に明記
相当性の確保行為の内容と処分の重さのバランス
弁明の機会付与手続の適正を確保
同様の過去事例との比較公平性・平等原則の担保
二重処罰の禁止一つの行為に対する複数処分の回避

労働問題・懲戒処分でお困りの方は弁護士へご相談ください

結の杜総合法律事務所では、就業規則の整備、懲戒処分の適法性判断、労使トラブル対応など、企業の労務管理を幅広くサポートしております。

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『令和7年8月の土曜相談日』のお知らせ

2025-07-24

弁護士法人結の杜総合法律事務所では、原則として毎月3回、土曜日も法律相談を受け付けております(完全予約制)。土曜相談をご希望の方は、直近の営業日までに、お電話またはお問い合わせフォームからお申し込みください【新規のお客様は初回1時間無料

令和7年8月の相談日は次の通りです。

① 8月 2日(土)(担当弁護士:三塚)

② 8月23日(土)(担当弁護士:原)

③ 8月30日(土)(担当弁護士:高橋)

お時間については、ご予約時にご希望をお伺いして決めさせていただきます。

相談場所は、原則として五橋本店となります。

(なお、ご予約状況によってはご希望に添えない場合もございますので、予めご了承ください。)

また、当事務所では、直接面談形式の法律相談に加え、「zoom」アプリを利用したテレビ電話形式での法律相談も行っております。こちらもぜひご活用ください(詳しくはこちら)。

皆様のご予約をお待ちしております。

夏季休業のお知らせ

2025-07-24

誠に勝手ながら、弁護士法人結の杜総合法律事務所は、以下の日程を夏季休業とさせて頂きます。

【夏季休業期間】 8月12日(火)~8月15日(金)

【業務開始日】  8月18日(月)~平常どおり、営業致します。

休業期間中のFAX、E-Mail、ホームページ専用フォームによるお問い合わせは受け付けておりますが、お問い合わせに対する回答は、原則として8月18日(月) 以降になりますのでご了承くださいませ。

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承下さいますようお願い申し上げます。

コラム「会社を解散・清算するには?弁護士が解説する適切な進め方」

2025-07-18

「会社を自主的に解散・清算したい」──そんなときどうすれば?

Q:売上が落ち込んでおり、債務超過の懸念があります。取引先や従業員に迷惑をかけないよう、会社の資産が残っているうちに、自主的に解散・清算したいのですが、どのような手続が必要でしょうか?

A:会社を解散・清算するには、通常清算(任意清算)または裁判所を通じた破産・特別清算などの手続があります。会社の状況に応じて最適な方法を選び、適切に進めることが重要です。

この記事では、会社解散・清算の流れや注意点について、弁護士がわかりやすく解説します。


1.会社を清算する方法は大きく2つ

会社の清算には、以下のように大きく2種類あります。

(1)通常清算(任意清算)

  • 株主総会の特別決議で解散し、清算人を選任
  • 裁判所を介さず、会社自身で清算手続きを進める
  • 債務超過ではない会社に適した方法

(2)裁判所を通じた清算

  • 主に債務超過の会社が対象
  • 裁判所に破産や特別清算を申し立て、公的な監督のもとで手続が進む

2.通常清算の流れと手続きのポイント

(1)株主総会での解散決議

会社法に基づき、株主総会で「特別決議」が必要です。
出席株主の3分の2以上の賛成が必要となります。

(2)清算人の選任

原則として取締役が清算人になりますが、別の者を選任することも可能です。

(3)登記の申請

以下の登記を2週間以内に行う必要があります。

  • 解散登記(会社法926条)
  • 清算人登記(会社法928条)

代表清算人の住所や、定款に清算人会の設置がある場合は、その旨の記載も必要です。

(4)債権者への公告・債務整理

  • 官報公告により債権者に債権の申出を促します。
  • 債務整理後、残余財産があれば株主に分配します。

3.旧商法からの変更点と実務への影響

  • 旧商法では裁判所への届出が必要でしたが、会社法では不要です。
  • 清算に関する登記書類の簡素化が進んでいます。
  • 通知義務の廃止により、株主への通知も任意となりました。

4.注意すべき登記事項と制度変更

  • 令和6年10月から、代表清算人の住所非表示が可能になりますが、金融機関等との取引で支障が出る可能性があります。慎重に検討しましょう。
  • 旧姓の併記を希望する場合の戸籍添付要件など、登記制度も更新されています。

5.弁護士と税理士の両面サポートが重要

会社を解散・清算する際には、法的な問題だけでなく、税務・会計の観点からの対応も不可欠です。

結の杜総合法律事務所では、弁護士と税理士の資格を有する代表が、ワンストップで対応しています。
東北エリアでは希少な「税理士法人を併設する弁護士法人」です。


6.まずはご相談ください(無料初回相談)

  • 「今の会社の状態で清算できるのか?」
  • 「破産ではなく通常清算を選べるか?」
  • 「役員の責任や従業員への対応は?」

など、お悩みの点はご相談ください。
ご説明後にご納得いただいてからのご依頼となります。無理な勧誘等は一切いたしません。

📞 お電話または下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
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コラム「遺産分割において不動産の評価額はどのように決まるのか?【弁護士・税理士が解説】」

2025-07-11

相続財産に不動産が含まれている場合、その「評価額」をめぐって相続人間で争いが生じることは少なくありません。不動産の評価方法には複数あり、評価額の違いが遺産分割の公平性に大きく影響するからです。

本コラムでは、相続における不動産の評価方法について、法律・税務の両面から解説します。不動産の公的評価基準や実務でよく使われる評価方法、裁判所での扱いなどを知ることで、トラブルを避けた円満な遺産分割に役立てていただけます。


1. 相続における不動産の評価方法とは?

遺産分割の際、不動産の評価額をどう決めるかは極めて重要なポイントです。評価額によって、各相続人が取得する財産の公平性が左右されます。

不動産の評価には主に次のような方法があります。


2. 不動産の公的評価基準とは?

(1)公示価格(こうじかかく)

  • 国土交通省が毎年公表する、特定の標準地の価格。
  • 不動産鑑定士による評価をもとに、正常価格として設定される。
  • 取引価格の指標や公共事業の算定基準となる。

ただし、公示価格は「標準地」に基づくため、個別の不動産の特殊事情を反映できないという限界があります。

(2)固定資産税評価額

  • 市町村が定める土地・建物の評価額で、課税の基準として利用される。
  • 公示価格の約70%が目安。
  • 3年に1回の評価替えであるため、地価変動に対するタイムラグが発生します。

(3)相続税評価額(路線価)

  • 国税庁が公表する「路線価」または「倍率方式」によって算定。
  • 毎年見直されており、地価の変動を比較的正確に反映
  • 相続税の申告実務でもよく使われるため、実務上、最も合意が得られやすい方法です。

3. 公的評価基準以外の評価方法

(1)不動産業者による査定

  • 不動産業者が提示する想定売却価格。
  • 無料で入手しやすい一方、客観性や公平性に疑問が残ることも。

(2)家事調停委員の専門意見

  • 裁判所の調停手続で、不動産鑑定士資格を持つ委員が意見を述べる制度。
  • 一定の専門性と客観性はあるが、現地調査を行わない点で精緻さに限界があります。

(3)私的鑑定

  • 当事者が不動産鑑定士に依頼して実施する鑑定。
  • 鑑定評価基準に従って行われれば、最も客観的で信頼性が高い方法といえます。
  • タイトルが「鑑定書」ではなく「意見書」や「査定書」の場合は注意が必要です。

4. 不動産評価額に関する合意と裁判所の判断

(1)合意できる場合

評価額は法的に絶対的なものではなく、相続人間の合意で自由に決められます。例えば、公示価格と固定資産税評価額の中間を取る、といった柔軟な調整も可能です。

(2)合意できない場合の扱い(分割方法別)

・換価分割(売却して現金化)

評価額は問題にならず、売却金額を分け合う。

・現物分割(不動産を誰かが取得)

不動産同士の相対的な評価が分かればよく、必ずしも鑑定は不要です。

・代償分割(取得者が他の相続人に金銭を支払う)

不動産の絶対的な価値が必要となるため、鑑定が必要です。


5. 裁判所が行う不動産鑑定のポイント

(1)評価時点の選定

  • 通常、遺産分割時点の価格を基準に鑑定。
  • 寄与分・特別受益がある場合は、相続開始時と遺産分割時の両方の鑑定が必要です。

(2)前提条件の確認

  • 鑑定の精度は「前提条件」で左右されます。
    • 抵当権の有無
    • 建物や借地権の影響 など
  • 鑑定前に当事者と裁判所がしっかりすり合わせることが重要です。

6. 鑑定書の信用性を確認するには?

不動産鑑定士が作成する書面のうち、タイトルが「鑑定書」であれば鑑定評価基準に基づく信頼性の高い資料といえます。

一方、「査定書」「意見書」「評価書」と記載されている場合は、簡易的な内容であることが多く、信用性が相対的に低い可能性があるため注意が必要です。


7. 相続・不動産評価にお困りの方へ

結の杜総合法律事務所では、東北唯一の弁護士法人・税理士法人併設事務所として、法務と税務の両面から相続を総合的にサポートしています。

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コラム「遺産分割はやり直すことができるのか?〜弁護士・税理士が法律と税務の両面から解説〜」

2025-07-04

1. 遺産分割協議のやり直しは可能か?

遺産分割協議は、相続人全員の合意により成立します(民法907条1項)。そして、いったん成立した遺産分割協議には相続開始時に遡る効力(遡及効)が生じます。

しかし、共同相続人全員の合意があれば、その協議を解除し、新たに遺産分割協議をやり直すことも可能です。最高裁平成2年9月27日判決でも、その旨が明確に認められています。

ただし、やり直しには法律上の注意点も多く、慎重な対応が求められます。

【ポイント】

  • 全相続人の合意が前提
  • 当初の協議を「解除」したうえで新たに協議する形になる
  • 登記や税務上の影響に注意が必要

2. やり直しの遡及効が制限される場合とは?

遺産分割協議の結果は相続開始時に遡りますが、その効力が第三者に影響を及ぼす場合には制限されることがあります(民法909条)。

たとえば、最初の協議によって不動産を取得した相続人がそれを第三者に売却した後、やり直しの協議で別の相続人に帰属させた場合、第三者の権利を不安定にさせることになります。そのようなケースでは、遡及効は制限されます。

3. 遺産分割のやり直しが必要となるケース

(1)新たな事情が判明した場合

遺産分割後に新たな相続財産が見つかった、または当初の協議内容に不満や疑義が生じた場合など、協議をやり直すことで問題解決を図ることができます。

※当初の協議書に「新たな財産が見つかった場合は○○が取得する」と記載しておけば、やり直しの手間を省けます。

(2)当初の協議に無効や取消しの原因がある場合

相続人の一部が協議に加わっていなかった、または意思能力を欠いていた場合などは、協議自体が無効または取り消される可能性があります。

この場合、新たな協議を行っても「贈与」とみなされず、税務上も相続として扱われます。

(3)無効ではないが合意解除によってやり直す場合

協議自体は有効であるものの、相続人全員の合意により解除して再協議を行うことも可能です。ただしこの場合、新たな財産の移転が贈与や交換と扱われる可能性があり、相続税ではなく贈与税が課税されることがあります。

この点については、以下の裁判例も重要です:

  • 最判平成13年6月14日:再協議により代償債務が発生し、財産を無償移転する場合は「贈与」とみなされ得る。
  • 最判昭和62年1月22日:相続税の負担調整のためのやり直しについては「相続による取得」と判断し、不動産取得税の非課税が認められた。

4. 税務上の注意点

遺産分割のやり直しは、法的には可能ですが、税務上の取扱いが大きく異なる点に注意が必要です。

  • 合意解除による再協議 → 贈与税の対象になることも
  • 無効・取消しの原因がある場合 → 更正の請求や修正申告により対応

相続税や贈与税の負担の違いは非常に大きいため、法的な判断だけでなく、税務的な検討も欠かせません。


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当事務所は、弁護士法人と税理士法人を併設運営している東北唯一の法律事務所です。相続問題に精通した弁護士と税理士が連携し、遺産分割の再協議や相続税の修正申告など、法律と税務の両面からワンストップで対応いたします。

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コラム「離婚する際、親権者はどのような基準で決まる?弁護士が徹底解説」

2025-06-27

離婚に際して、父母どちらが子どもの親権者になるかで悩んでいる方も多いでしょう。特に両親が親権を譲らない場合、最終的には離婚訴訟で決着をつけることになります。その際、親権者はどのような基準で決まるのでしょうか? 本コラムでは、親権者・監護権者の決定に関する法律的な基準を解説します。


1. 現行法における親権者・監護権者の指定基準

離婚時に親権者を指定する際、まずは父母の協議で決定されます(民法第819条1項)。協議がまとまらない場合や協議できない場合、家庭裁判所による調停または審判で決定されます(家事手続第39条・第244条・別表第2)。裁判による離婚の場合、裁判所が親権者を定めます。親権者・監護権者は子どもの利益を最優先に考慮して選ばれるべきです。


2. 親権者・監護権者指定の基準

親権者や監護権者を指定する際には、子どもの利益を最優先に判断することが最も重要です。これは民法第766条・第819条で定められており、以下のような要素を総合的に考慮して判断されます。

  • 父母側の事情
    • 監護能力、経済的・精神的家庭環境
    • 子どもの教育環境や居住環境
    • 愛情の深さ、過去の監護状況
  • 子どもの側の事情
    • 年齢、性別、発育状況
    • 子ども自身の意向
    • 父母や親族との関係性

また、不貞行為が親権者の適格性に影響するかについては、不貞行為が直接的に親権者の指定に影響することは少なく、実際に子どもの監護に悪影響を及ぼしていることが証明される場合に限り、親権者として不適当とされることがあります。


3. 親権者・監護権者指定で重視される事情

親権者を決定する際に重視される主な事情は次の通りです:

  1. 現状の尊重(継続性)
    現在子どもを監護している親権者が引き続き監護を行うべきという原則です。特段の事情がない限り、現状を維持することが基本とされています。
  2. 母親の優先
    乳幼児の場合、母親が優先されることが一般的です。しかし、父親でも適切な監護能力がある場合や母親が不適格な場合は、父親が親権者となる可能性もあります。
  3. 子どもの意思の尊重
    子どもが15歳以上の場合、その意思が強く反映されるべきですが、10歳以上であれば子どもの意見も考慮されることが多いです。
  4. 兄弟姉妹の不分離
    兄弟姉妹が可能な限り一緒に監護されることが望ましいとされますが、子どもの年齢が上がるとこの基準は後退します。
  5. 面会交流の許容性
    相手方と子どもとの面会交流が適切に行われることも、親権者を決める際に有利に働くことがあります。

4. 親権に関する民法改正

令和6年5月17日に成立した民法改正(令和6年法律33号)により、親権に関する規定が大きく変更されました。改正後のポイントは以下の通りです:

  1. 親権共同行使の原則と例外
    親権は基本的に父母共同で行使されますが、父母の一方が親権を行使できない場合や子どもの利益のために急迫の事情がある場合は、単独親権となることがあります。
  2. 離婚後の親権者
    協議離婚の場合、父母の合意により親権者を決定できます。共同親権を選択することも可能となり、親権者が一方のみの場合でも、家庭裁判所は子どもの利益を最優先に考慮して決定します。

離婚問題でお悩みの方へ

結の杜総合法律事務所では、離婚に関するお悩みに対し、専門の弁護士が親身に対応いたします。離婚手続きの流れや実際にかかる弁護士費用について、事前にしっかりと説明させていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

「離婚・男女問題」の詳細な情報やご相談はこちらからご確認ください。

コラム「【仙台・宮城対応】個人再生とは?借金を減額し生活を立て直す方法を解説」

2025-06-20

1.個人再生とは?|仙台・宮城で選ばれる借金整理の方法

仙台市や宮城県内で借金問題に悩む方にとって、個人再生は「自己破産せずに借金を減額」できる有効な方法です。
任意整理・自己破産と並ぶ主要な債務整理手続の一つで、裁判所の認可により借金を大幅に減額し、3~5年間で分割返済する制度です。


2.仙台・宮城で増加する個人再生のご相談

最近では、宮城県内でも「住宅ローンを残しつつ借金整理したい」「破産は避けたい」といったご相談が増えており、個人再生を選ぶ方が増加傾向にあります。
とくに仙台市内では、宮城県を管轄する仙台地方裁判所が手続の中心となります。


3.個人再生の特徴とメリット

個人再生の主なメリット(仙台・宮城の事例にもとづく)

  • 借金を最大90%以上カットできるケースも
  • 住宅ローン特則を使えば、マイホームを手放さずに手続き可能
  • 自己破産と異なり、資格制限なし(宅建士・公務員なども可)
  • 任意整理と違い、債権者の同意がなくても借金を減額できる

4.個人再生の手続きの流れ(仙台地方裁判所の運用に沿って)

  1. 弁護士への相談・依頼
     仙台市の当事務所にて、個人再生の適否・方針をご説明
  2. 申立書・必要書類の準備
     収入資料・財産目録などを整えて提出
  3. 仙台地方裁判所への申立て
     小規模個人再生か給与所得者等再生を選択
  4. 再生手続開始決定・個人再生委員の選任(必要な場合)
  5. 債権調査・再生計画案の作成と提出
  6. 再生計画の認可・確定
  7. 分割払いの開始・完済で借金整理完了

5.住宅ローンを残したまま個人再生したい方へ

仙台市・宮城県では、マイホームを持つ方からの「住宅ローンと他の借金を分けて整理したい」というご相談が多く寄せられています。
『住宅資金特則(住宅ローン特則)』を活用すれば、自宅を維持しながらその他の借金を大幅に減額できます。


6.個人再生を仙台市・宮城県でご検討中の方へ|弁護士に相談する理由

結の杜総合法律事務所(仙台市青葉区)では、仙台地方裁判所への申立実績も多数あり、地元の裁判所運用に精通しています。

弁護士に依頼することで:

  • 書類作成や手続きの負担を大幅に軽減
  • 適切な手続選択で成功率が上がる
  • 手続の見通しやリスクを事前に把握できる

まずは一度、仙台駅近くの当事務所にて無料相談をご利用ください。


7.まとめ|仙台・宮城の方の個人再生なら結の杜総合法律事務所へ

  • 借金を減額して再出発したい
  • 自己破産は避けたい
  • 住宅を手放さずに借金整理したい

そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
当事務所では、無理な勧誘は一切せず、安心してご相談いただけます。


📞 お問い合わせはこちらから

結の杜総合法律事務所(仙台市青葉区)
▶ [問合せフォーム]

『令和7年7月の土曜相談日』のお知らせ

2025-06-16

弁護士法人結の杜総合法律事務所では、原則として毎月3回、土曜日も法律相談を受け付けております(完全予約制)。土曜相談をご希望の方は、直近の営業日までに、お電話またはお問い合わせフォームからお申し込みください【新規のお客様は初回1時間無料

令和7年7月の相談日は次の通りです。

① 7月12日(土)(担当弁護士:原)

② 7月19日(土)(担当弁護士:三塚)

③ 7月26日(土)(担当弁護士:高橋)

お時間については、ご予約時にご希望をお伺いして決めさせていただきます。

相談場所は、原則として五橋本店となります。

(なお、ご予約状況によってはご希望に添えない場合もございますので、予めご了承ください。)

また、当事務所では、直接面談形式の法律相談に加え、「zoom」アプリを利用したテレビ電話形式での法律相談も行っております。こちらもぜひご活用ください(詳しくはこちら)。

皆様のご予約をお待ちしております。

コラム「【弁護士解説】交通事故で負った後遺障害による逸失利益とは?」

2025-06-13

交通事故による損害賠償請求を行う際、「後遺障害」や「逸失利益」という言葉を耳にすることがあります。しかし、それがどのような意味を持ち、どのように計算されるのか、詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、交通事故の後遺障害と、それによって生じる逸失利益について、交通事故に強い弁護士がわかりやすく解説いたします。


1. 後遺障害による逸失利益とは?

後遺障害とは、交通事故によるケガの治療が終了(症状固定)した後も残ってしまう、身体や精神の障害のことです。例えば、「むちうち症による首の可動域制限」や「足の関節の変形」などが該当します。

一方、逸失利益とは、本来であれば将来得られたはずの収入を、後遺障害によって得られなくなってしまった損害のことをいいます。

つまり、「後遺障害による逸失利益」とは、後遺障害が原因で労働能力が低下し、将来的に得られるはずだった収入が減少したことによる損害を指します。


2. 後遺障害等級の認定とその重要性

(1)後遺障害の認定手続

後遺障害による賠償請求を行うためには、まず後遺障害等級認定を受ける必要があります。これは自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)を通じて行われます。

主な認定方法は以下の2つです:

  • 事前認定:加害者側の保険会社が手続きを代行する方法
  • 被害者請求(自賠16条請求):被害者自身が申請する方法

認定は、損害保険料率算出機構の調査事務所が行い、障害の程度に応じて等級(1級~14級)が付されます。

なお、自覚症状のみで他覚的所見(MRIやレントゲンなどの医学的裏付け)がない場合は、等級認定が難しいのが実情です。

(2)後遺障害の認定時期

後遺障害の認定は、症状固定と医師から診断された時点で初めて可能になります。症状固定後は、治療費が保険会社から支払われないことが多く、損害賠償請求のフェーズへ移行する重要なタイミングです。


3. 後遺障害による逸失利益の考え方と計算方法

(1)逸失利益の考え方

逸失利益の捉え方には2つの説があります:

  • 差額説:事故前後の収入の差を損害とする考え方
  • 労働能力喪失説:労働能力が失われたこと自体を損害とする考え方

裁判例では基本的に差額説を採用しており、収入の減少がなければ損害が認められない場合があります。

(2)裁判例における判断

たとえば、最高裁昭和42年11月10日判決では、「実際の収入が減っていなければ逸失利益は認められない」との判断が示されています。逆に、後遺障害があっても、努力により収入減が生じていないケースでは損害が否定される傾向があります。


(3)後遺障害による逸失利益の計算方法

実務では、以下の計算式が用いられます:

基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数(就労可能年数に対応)

基礎収入

原則として事故前の年収を基準にしますが、被害者の年齢・学歴・職歴に応じて賃金センサスの平均賃金が基準とされることもあります。

労働能力喪失率

等級ごとの目安に従い、被害者の職業や年齢、症状の程度を考慮して定めます。

労働能力喪失期間

通常は症状固定日から67歳までとされますが、症状が軽い場合やむちうち症(頚部捻挫)では、5年〜10年程度に限定されることもあります。

中間利息控除

将来の損害を現在価値に引き直すための係数で、「ライプニッツ方式」が主に用いられています。


4. 逸失利益の認定が難しいケースと弁護士の重要性

後遺障害が残っても、実際の減収が確認できなければ逸失利益が認められない可能性があります。特にむちうち症のように外見から症状がわかりづらいケースでは、適切な等級認定や損害額の主張に高度な専門知識が必要です。

そのため、交通事故に詳しい弁護士に相談し、適切な資料の収集・主張を行うことが極めて重要です。


5. 結の杜総合法律事務所にご相談ください

結の杜総合法律事務所では、交通事故における後遺障害や逸失利益の請求に関して、多くの解決実績があります。ご相談の際には、事故後の流れや保険の使い方、費用についても弁護士が丁寧にご説明いたします。

弁護士費用特約付きの自動車保険に加入されている方は、弁護士費用の自己負担が原則として不要です。
保険証券をご確認いただくか、保険会社へお問い合わせください。

まずはお気軽にご相談ください。

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