離婚を考える際、「住宅ローンが残っている自宅はどうすればよいのか?」という疑問を持つ方は非常に多くいらっしゃいます。住宅ローンが残る不動産は、財産分与の対象になるのか、また、分与の方法にはどのような選択肢があるのか――このコラムでは、法律的な観点から詳しく解説いたします。
1. 住宅ローン付き不動産は財産分与の対象になるの?
離婚時の財産分与では、不動産が「共有財産」として扱われるかどうかが重要です。以下のような点を総合的に判断する必要があります。
- 不動産の取得時期や名義
- 不動産の時価とローン残高のバランス
- 売却か取得か、どちらの方法を取るか
- 名義が単独か共有か
- 履行(支払や引渡し)をどう確保するか
2. 財産分与の対象になるケースとならないケース
● 不動産の名義と取得の経緯がカギ
不動産の名義が夫・妻のいずれか一方であっても、取得資金が共有の財産(婚姻中の収入など)であれば、財産分与の対象になります。一方、親族からの援助で購入した場合、その割合に応じて対象部分が限定されることもあります。
● 住宅ローンの支払い実績も考慮される
婚姻期間中に支払った住宅ローンは、原則として夫婦双方の寄与として扱われ、通常は半々の割合で考えられます(東京高判平成10年2月26日等)。
3. 不動産の価値がローン残高より多い場合の対応
● 不動産を売却する場合
売却額からローン残高と諸経費(仲介手数料など)を引いた残額が財産分与の対象となります。たとえば、
- 売却価格:3,000万円
- ローン残高:1,800万円
→ 残り1,200万円を2分の1ずつ分与(600万円ずつ)
名義が単独である場合、仮登記や保全処分を用いて履行を確保する方法も検討が必要です。
● 一方が不動産を取得し、住み続ける場合
住宅ローン残高を控除した不動産の時価分を、取得者が相手に「清算金」として支払う形になります。この場合、公正証書を作成するなど、履行を確実にする措置が望ましいです。
4. 不動産の価値がローン残高より少ない場合の対応
● 売却してもローンが残るケース
例:不動産の売却額が2,000万円、ローン残高が3,000万円 → 残り1,000万円の債務が残る
この場合、債務の分担方法(債務引受など)を協議で決める必要があります。ただし、債権者との関係では、名義変更や保証人変更を行わなければ、法的な支払義務は変わりません。
● 一方が取得し、ローン全額を負担するケース
取得者がローン全額を負担する代わりに、不動産全体を引き継ぐ形が一般的です。その他、慰謝料や扶養的財産分与の形で、片方が一部ローンを負担する合意をすることもあります。
5. 弁護士に相談するメリットとは?
住宅ローン付き不動産の財産分与は、非常に複雑な問題を含んでいます。名義・債務・清算金の取り決め、履行確保の方法など、専門的な判断が不可欠です。
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。