「親の代から土地の固定資産税を払い、自宅を建て生活してきました。ところが最近、その土地の名義が他人のままだと判明しました…。この土地を自分名義にできますか?」
固定資産税を長年支払い、長期にわたり土地を占有してきた場合、『取得時効』により土地の所有権を取得できる可能性があります。
しかし、固定資産税を払っているだけでは自動的に自分の土地になるわけではありません。
法的な要件や、適切な手続を踏む必要があります。
本記事では、
- 取得時効が成立する条件
- 固定資産税を払っているだけで時効取得できる?
- 地主に協力してもらえない場合の手続き
- 逆に所有者から土地明渡しを請求されるケース
などをわかりやすく解説します。
このページの目次
1.取得時効とは?(土地を長く使い続けた人が所有権を得られる制度)
民法162条は、以下の条件で占有者に所有権を認める制度です。
| 占有開始時の状況 | 必要な期間 |
|---|---|
| 善意・無過失(自分の土地だと信じて疑わなかった) | 10年 |
| 悪意又は過失あり(借地の認識等) | 20年 |
※占有は「平穏・公然・所有の意思」が必要
※時効は援用(主張)しないと成立しない(民145)
固定資産税を払っていることは、所有の意思の根拠となる重要な事情です。
2.よくある事例:親の代から固定資産税を払っていた
✅ケース例
- 父が他人名義の土地に自宅を建て、固定資産税も支払っていた
- 子が相続し、自分の名義で固定資産税を支払い続けている
- 土地が自分名義でないことに後で気づいた
この場合、
- 父の占有(借地の可能性)
- 子の占有(自分の土地と信じていた)
を区別して検討します。
父が借地人=他主占有の場合、
父の期間は通算できない可能性がありますが、
相続による占有態様の変更が認められる※最高裁判例もあります
(最判昭46・11・30)。
✅つまり、相続後の占有期間が10年以上あれば、時効取得が認められる可能性があります。
3.地主が協力しない場合の手続き
✅まずは時効取得を援用し、協力を依頼
しかし、多くの場合、地主が任意で登記に応じてくれません。
✅その場合
所有権移転登記手続請求訴訟
を提起し、判決に基づき登記を行います。
✅10年になる前に請求すると不利になる場合があり、タイミング戦略も重要です。
4.逆に地主が土地明渡しを求めてくる場合
地主側は
- 賃貸借契約の存在
- 所有者であること
- 時効成立要件がないこと
を主張します。
固定資産税を払っていたことが、
かえって「賃料代わりだった」と評価される危険も。
✅早めの法的対応・証拠準備が極めて重要です。
5.まとめ:取得時効は専門家サポートが成功の鍵
取得時効は要件・証拠・手続が非常に複雑です。
以下のような場合は、すぐに弁護士にご相談ください。
- 固定資産税は払っているが名義が違う
- 親の代から土地を利用している
- 地主から明渡しを求められた
- 裁判で所有権を確定させたい
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
