コラム「破産すると全財産を失うのか?仙台の弁護士が自己破産と自由財産を解説」

1 はじめに

「自己破産をすると、すべての財産を失ってしまうのでは?」と不安に思っている方は多くいらっしゃいます。
生活するための家財やお金まで取り上げられ、路頭に迷ってしまうのではないか――そんな誤解から、破産手続きをためらう方も少なくありません。

しかし、実際にはそうではありません。
自己破産をしても、99万円までの現金や生活必需品(差押禁止財産)は「自由財産」として手元に残すことができます。さらに、必要に応じて「自由財産拡張」という手続で範囲を広げられる場合もあります。

本記事では、仙台・宮城で多くの破産案件を扱う弁護士が、破産後に残せる財産についてわかりやすく解説します。


2 自己破産と自由財産の基本

自己破産は、借金や債務をゼロにして再スタートを切るための制度です。
ただし、債権者に配当するために一定の財産は処分されますが、法律で守られた自由財産は失いません。

自由財産の例:

  • 99万円までの現金
  • 生活必需品(衣類・寝具・家具・台所用品・食料・燃料など)
  • 実印や位牌、学習用品、義手義足など身体補助具
  • 社会保障給付や一部の給与・退職金

破産法は、単に借金をなくすだけでなく、「経済生活の再生の機会を確保する」ことを目的としており、最低限の生活を守る仕組みが整えられています。


3 99万円までの現金は残せる

民事執行法の改正により、破産しても最大99万円までの現金は手元に残せます(預金は含まれず現金のみ)。
これは、以前の21万円から大幅に引き上げられた額で、生活の再建を支える大きなポイントです。

預金については、現金と同視できる面もありますが、法制度上は自由財産拡張の手続で対応します。


4 その他の差押禁止財産

法律で差押えを禁止されている財産も、自由財産として残せます。
代表例:

  • 衣類・家具・寝具・台所用品
  • 1か月分の食料・燃料
  • 農業・漁業・職人に必要な道具類
  • 実印、礼拝用具、学習道具
  • 義手・義足など身体補助具
  • 一部の給与・年金・退職金

これらは生活や仕事の継続に欠かせないため、破産しても失いません。


5 自由財産拡張とは

現金以外の財産でも、破産者の生活状況に応じて自由財産の範囲を広げられる制度です。
対象となるケース:

  • 預貯金や生命保険の解約返戻金
  • 自動車
  • 退職金債権

たとえば、扶養家族が多い場合や、病気で医療費がかかる場合などには、生活再建のために自由財産拡張が認められる可能性があります。


6 裁判所の運用例(東京地裁)

  • 預貯金残高が20万円以下
  • 生命保険解約返戻金が20万円以下
  • 自動車の処分見込額が20万円以下
  • 居住用家屋の敷金債権
  • 電話加入権
  • 退職金債権の一部

仙台地方裁判所でも独自の運用がありますので、具体的な基準は弁護士に確認することが重要です。

ただし、自由財産の拡張は各裁判所で簡便な処理方法が用いられており、基本的には、現預金や保険等は99万円の範囲であれば保有できると考えて差し支えありません。


7 まとめ:破産=全財産喪失ではない

自己破産をしても、生活に必要な財産は守られます。
正しい知識を持つことで、不安や誤解を減らし、早期の生活再建につなげられます。


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