コラム「【完全解説】相続時の配偶者居住権・配偶者短期居住権とは?」

1. 配偶者居住権・配偶者短期居住権とは?

 配偶者が亡くなった後も、残された配偶者がそのまま自宅に住み続けられるのか、不安に思う方も多いでしょう。相続が発生すると、他の相続人との関係で、配偶者が自宅の権利を直ちに得られない可能性があります。そのため、2018年の民法改正により「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」が創設され、2020年4月1日より施行されました。

 このコラムでは、配偶者居住権・配偶者短期居住権の違いやメリット、注意点を詳しく解説します。


2. 配偶者居住権とは?

 配偶者居住権は、被相続人が所有していた建物に住み続ける権利を、配偶者に認める制度です。相続発生後も、配偶者は無償でその建物を使用し続けることができます。

◼️ 配偶者居住権が成立する条件

  • 相続開始時に、配偶者が被相続人所有の建物に住んでいたこと
  • 遺産分割で配偶者居住権を取得することが決まった場合、または遺贈の対象とされた場合
  • その建物が、被相続人の単独所有または被相続人と配偶者の共有であること

◼️ 配偶者居住権の期間

 原則として、配偶者が生存している限り有効です。ただし、遺産分割協議や遺言によって異なる取り決めが可能です。

◼️ 配偶者居住権の評価額の計算式

  配偶者居住権には財産的価値があり、相続税の対象となります。一般的な評価方法は以下の通りです。

配偶者居住権の価額 = 建物敷地の現在価額 - 配偶者居住権付所有権の価額

3. 配偶者短期居住権とは?

 一方で、遺産分割が完了する前に、配偶者の住む権利が不安定にならないように設けられたのが配偶者短期居住権です。

◼️ 配偶者短期居住権の条件

  • 配偶者が相続開始時に、被相続人所有の建物に無償で住んでいたこと
  • 遺産分割が完了していない、または遺贈がない場合

◼️ 居住できる期間

  • 「遺産分割で建物の帰属が確定した日」または「相続開始から6ヶ月経過した日」のいずれか遅い日まで
  • 建物が第三者に遺贈された場合は、所有者が配偶者に対し消滅申入れを行ってから6ヶ月間

◼️ 相続税との関係

 配偶者短期居住権は「使用借権」に類似した法定債権であるため、財産価値がゼロとされ、相続税の課税対象にはなりません。


4. まとめ:配偶者居住権を活用して安心の相続対策を!

 配偶者居住権と配偶者短期居住権を正しく理解し、適切に活用することで、残された配偶者の生活を守ることができます。

  • 配偶者居住権:終身にわたり住み続けることができるが、相続税の課税対象となる
  • 配偶者短期居住権:相続発生後、一定期間無償で住めるが、財産価値はゼロ

 相続手続きをスムーズに進めるためには、遺言の作成や相続対策の事前準備が重要です。

 「具体的にどう手続きすればいいの?」「相続税がどのくらいかかるの?」といった疑問がある方は、ぜひ結の杜総合法律事務所までご相談ください。

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