コラム「株主総会の招集手続と欠缺がある場合の争い方― 株主総会決議は取り消される?無効?経営者が押さえるべき実務ポイント ―」

1 はじめに|株主総会の「招集ミス」は深刻な経営リスクになります

株式会社において、株主総会は最も重要な意思決定機関です。
もっとも、招集手続に不備(瑕疵)がある株主総会は、後になって

  • 株主総会決議取消し
  • 株主総会決議無効・不存在確認

といった訴訟を提起され、経営判断が根底から覆されるリスクがあります。

特に、非上場会社・同族会社では「全員知っているから大丈夫」「口頭で伝えたから問題ない」といった誤解からトラブルに発展するケースが少なくありません。

本コラムでは、株主総会の招集手続の基本から招集手続を欠いた場合の法的評価と争い方まで、実務上重要なポイントを分かりやすく解説します。


2 株主総会の招集手続の基本

⑴ 原則的な招集手続

取締役会設置会社において株主総会を招集する場合、

  1. 取締役会による招集決定
  2. 法定期間内での招集通知の発送

が必要です。

  • 招集通知期限:
    • 原則:会日の2週間前
    • 非公開会社で書面投票・電子投票を採用しない場合:1週間前

この招集手続に違反した株主総会決議は、株主総会決議取消事由となります。

👉「通知を出し忘れた」「期限が1日足りない」といったミスでも、後から問題になる可能性がある点に注意が必要です。


3 招集手続は省略できる?|株主全員の同意がある場合

⑴ 招集手続省略が認められるケース

以下の要件をすべて満たす場合、招集手続の省略が可能です。

  • ① 取締役会による招集決定があること
  • ② 書面投票・電子投票を採用していないこと
  • 株主全員が事前に省略に同意していること

この場合、招集通知の発送や計算書類の提供を省略できます。

⑵ 実務上の注意点

✔「全員同意」が極めて重要
✔ 1人でも同意が欠けると違法となる
✔ 後日の立証のため書面で同意を残すことが不可欠


4 全員出席総会とは?|招集決定がなくても有効になる例

⑴ 全員出席総会の効力

招集決定や招集通知が欠けていても、

  • 株主全員が
  • 株主総会の開催に同意し
  • 出席している場合

その株主総会(全員出席総会)は有効に成立します。

⑵ 代理人出席の場合の注意

代理人出席も可能ですが、

  • 本人株主が議題を理解した上で委任していること
  • 委任の範囲内で決議が行われていること

が必要です。

👉「形式だけ整えた全員出席総会」は、後日無効とされるリスクがあります。


5 株主総会決議に瑕疵がある場合の争い方

株主総会決議に問題がある場合、以下の2類型があります。


【1】株主総会決議取消しの訴え

⑴ 取消しの原因

  • 招集手続・決議方法の法令・定款違反
  • 決議内容の定款違反
  • 特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議

👉「著しく不公正」「著しく不当」かどうかは、具体的事案ごとに判断されます。

⑵ 提訴できる人

  • 株主
  • 取締役
  • 監査役
  • 清算人 など

⑶ 提訴期間

決議の日から3か月以内
※期間徒過すると原則として提訴不可

⑷ 実務上のポイント

  • 手続違反が軽微でも、重要議案の場合は取消されることがある
  • 「裁量棄却」が認められないケースも多い

【2】株主総会決議不存在・無効確認の訴え

⑴ 対象となる瑕疵

  • 決議が事実上存在しない
  • 招集手続の欠缺が極めて重大な場合
  • 決議内容が法令違反の場合

⑵ 特徴

  • 提訴期間の制限なし
  • 提訴権者の制限なし
  • 対世効・遡及効あり

👉 経営への影響は極めて大きい訴訟類型です。


6 こんな場合は早めに弁護士へ相談を

  • 招集通知を出さずに株主総会を開いてしまった
  • 一部の株主に通知が届いていなかった
  • 急いで総会を開いたが、手続が適法か不安
  • 株主から「決議は無効だ」と主張されている

放置すると、後から取り返しのつかない問題に発展することがあります。


7 結の杜総合法律事務所にご相談ください

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