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1 はじめに
近年、Google口コミ、SNS、掲示板サイト、口コミサイトなどにおいて、企業や店舗に対する誹謗中傷の投稿が増加しています。
例えば、
- 「この会社は詐欺会社だ」
- 「この会社の商品は危険だ」
- 「ブラック企業なので絶対に働かない方がよい」
といった投稿がされると、企業の信用やブランドイメージが大きく毀損されるおそれがあります。
もっとも、インターネット上の投稿には表現の自由があるため、すべての投稿が違法になるわけではありません。
そのため、誹謗中傷を発見した場合には、まず
- 法的に違法な投稿なのか
- 削除請求や投稿者特定が可能なのか
を慎重に検討する必要があります。
本コラムでは、会社に対するインターネット上の誹謗中傷への対応方法について、法律上のポイントを解説します。
2 企業に対する誹謗中傷は「名誉毀損」に該当する可能性
会社に対する誹謗中傷の場合、主に問題となるのは名誉毀損(信用毀損)です。
個人の場合には
- 名誉権
- プライバシー権
- 名誉感情
などが問題になりますが、法人の場合は基本的に名誉感情やプライバシーは問題となりません。
したがって、会社に対する誹謗中傷では社会的評価を低下させる投稿かどうかが重要な判断ポイントになります。
3 名誉毀損の判断基準
刑法では、
- 事実を摘示して名誉を毀損した場合
→ 名誉毀損罪(刑法230条) - 事実を示さなくても侮辱した場合
→ 侮辱罪(刑法231条)
が成立する可能性があります。
ここでいう「人」には、法人(会社)も含まれるとされています(大審院大正15年3月24日判決)。
また裁判所は、
社会から受ける客観的評価を違法に侵害された者は、損害賠償請求や名誉回復措置を求めることができる
と判示しています(最判昭61・6・11)。
そのため企業の担当者としては、その投稿が会社の社会的評価を低下させる内容かどうかを検討する必要があります。
なお、この判断は
一般の閲覧者の普通の注意と読み方
を基準として判断されます(最判昭31・7・20、最判平24・3・23)。
4 事実の摘示か、意見・論評か
誹謗中傷の投稿には大きく分けて
① 事実の摘示
② 意見・論評
の2種類があります。
裁判例では、
社会的評価を低下させるものであれば、事実の摘示か意見・論評かを問わず名誉毀損は成立し得る
とされています(最判平9・9・9)。
例えば、
事実摘示の例
- 「この会社は違法行為をしている」
- 「この会社の商品は不良品ばかり」
意見・論評の例
- 「この会社は信用できない」
- 「この会社の商品はひどい」
このような場合でも、社会的評価を低下させる投稿であれば違法と判断される可能性があります。
5 商品の品質に関する投稿も信用毀損になり得る
企業に関する投稿では、商品の品質やサービス内容についての書き込みが問題になることもあります。
最高裁判所は、
商品の品質に対する社会的信頼も刑法233条の「信用」に含まれる
と判断しています(最判平成15年3月11日)。
また裁判例では、
LED製品の製造環境を問題視する投稿について
製品の品質が低いとの印象を与え、会社の信用を毀損する
として名誉毀損を認めています(徳島地裁令和2年2月17日)。
そのため
- 商品の品質
- サービス内容
- 衛生状態
などに関する虚偽投稿も、信用毀損として違法となる可能性があります。
6 投稿内容が真実である場合の注意点
投稿が会社の評価を低下させる内容であっても、
- 公共の利害に関する事実
- 公益目的
- 内容が真実
である場合には、違法にならない可能性があります。
これを「真実性の抗弁」といいます。
さらに
- 真実と信じる合理的理由がある場合
には「真実相当性」が認められる可能性があります(最判昭41・6・23、最判昭58・10・20)。
そのため企業としては、まず
- 投稿内容が事実かどうか
- 社内に証拠があるか
を慎重に調査する必要があります。
7 匿名投稿の場合の対応(発信者情報開示請求)
多くの誹謗中傷は匿名で投稿されています。
この場合、発信者情報開示請求という手続を利用して投稿者を特定することになります。
この制度は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通対処法)」に基づくものです。
発信者情報開示請求が認められるためには
- 権利侵害が明らかであること
が必要とされています。
そのため
- 投稿が違法であること
- 投稿が真実ではないこと
を企業側で主張・立証する必要があります。
8 削除請求・投稿者特定の判断ポイント
誹謗中傷投稿への対応では、次の点を総合的に検討することが重要です。
① 投稿内容の違法性
- 社会的評価を低下させるか
- 事実か意見か
② 投稿内容の真実性
- 事実かどうか
- 社内資料で裏付けできるか
③ 投稿者が匿名かどうか
- 投稿者特定の必要性
- 削除請求の可否
④ 証拠資料の有無
- 社内資料
- 契約書
- メール
- 録音等
など証拠の有無は対応方針を決める重要な要素になります。
9 企業がとるべき誹謗中傷対策
インターネット上の誹謗中傷に対しては、
- 投稿削除請求
- 発信者情報開示請求
- 損害賠償請求
- 慰謝料請求
- 刑事告訴
などの法的手段をとることが可能です。
もっとも、投稿内容によっては
- 逆に企業側が批判される
- いわゆる炎上につながる
といったリスクもあるため、専門家による慎重な判断が重要です。
10 インターネット誹謗中傷でお困りの企業様へ
結の杜総合法律事務所では、
- インターネット上の誹謗中傷
- 口コミサイトの削除請求
- 発信者情報開示請求
- 投稿者への損害賠償請求
など、企業のインターネットトラブルに関する法的サポートを行っております。
また、継続的にインターネットリスク対策を行いたい企業様には、顧問契約による継続サポートもご案内しております。
ご相談の際には、弁護士が事案ごとに丁寧にご説明いたします。
内容をご理解・ご納得いただいた上でご依頼いただけますのでご安心ください。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害でお困りの企業様は、まずはお気軽に結の杜総合法律事務所までお問い合わせください。
宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
