新規にビジネスを始めたいときや、既存事業をさらに拡大・発展させたいと考えたとき、ゼロから立ち上げるよりも、すでに実績やノウハウを持つ他社の事業を譲り受けることを検討する経営者の方も多いのではないでしょうか。
では、実際に事業を譲り受けるには、どのような手続きが必要になるのでしょうか?
今回は、事業譲渡の手続きと注意点について、わかりやすく解説します。
事業譲渡とは?ビジネス拡大・新規事業スタートに有効な手段
「事業譲渡」とは、ある会社が他社に対して事業の全部または一部を売却し、買い手がそれを引き継ぐ手続きです。
この方法を使えば、すでに顧客基盤やノウハウを持つ事業を手に入れることができ、スピーディーな事業拡大や新規事業立ち上げが可能になります。
ただし、手続きや法律上のポイントをしっかり押さえることが重要です。
事業譲渡の基本的な手続きの流れ
1. 基本合意書(覚書)の作成
まずは売り手・買い手双方で、譲渡する事業の範囲、金額、従業員の処遇、競業避止義務(売り手が同業で再スタートしない約束)などについて合意し、覚書を交わすのが一般的です。
2. 取締役会の承認
会社法上、重要な資産の取得にあたるため、取締役会で承認決議を行う必要があります(会社法362条4項1号)。
3. 事業譲渡契約書の締結
事業譲渡の具体的な内容を記載した契約書を締結します。契約書には、
- 事業財産の範囲
- 代金の支払い方法
- 従業員・商号の引継ぎ
- 債務の取り扱い
などを明記します。
4. 株主総会の特別決議
譲受けが会社全体に大きな影響を及ぼす場合、株主総会で特別決議を行う必要があります(会社法467条1項3号)。
※取引規模が小さい場合(純資産額の1/5以下)は「簡易手続き」が可能な場合もあります。
事業譲渡時に注意すべき「債権者への対応」
事業を引き継いでも、前の会社の借金(債務)を自動的に引き継ぐわけではありません。
ただし、次のようなケースでは新しいオーナー(譲受会社)が債務を負担することになるため注意が必要です。
- 商号(会社名)を引き継いだ場合(原則、全債務の責任を負う)
- 債務を引き継ぐ旨を広告・通知した場合
特に、商号続用の場合には、すぐに「旧会社の債務は引き継ぎません」と登記や通知をしないと、知らないうちに債務を負うリスクも。
事前にしっかりと弁護士に相談して進めることが大切です。
公正取引委員会への届出が必要な場合も
一定規模以上(大型案件)の事業譲渡では、独占禁止法に基づき公正取引委員会への事前届出が必要になります。
届出後、原則30日間は譲渡手続きを実行できませんので、スケジュールにも注意しましょう。
まとめ:事業譲渡はスピード感のある成長戦略!しかし慎重な対応が必要
事業譲渡をうまく活用すれば、リスクを抑えながらビジネス拡大や新市場参入が実現可能です。
ただし、法律上の手続きや債務問題、税務リスクなど、慎重な対応が求められます。
【まずはご相談ください】結の杜総合法律事務所がフルサポート!
結の杜総合法律事務所では、事業譲渡に強い弁護士が、経営者の皆様のお話をじっくり伺ったうえで、最適なアドバイスとサポートをご提供しています。
さらに、税理士事務所も併設しており、法務・税務をワンストップ対応可能です!
- 相談したからといって無理に手続きに進めることはありません。
- まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。
👉 【お問い合わせはこちら】

宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。