「この遺言書は本当に有効なのか?」
「認知症だった親の遺言を争うことはできるのか?」
「公正証書遺言でも無効になることがあるのか?」
相続の現場では、遺言の有効性をめぐる争い(遺言無効確認訴訟)が少なくありません。
本記事では、
- 遺言が無効になるケース
- 遺言無効確認の訴えの手続
- 被告の選び方
- 立証責任
- 遺留分侵害額請求との関係
について、判例を踏まえて解説します。
仙台・宮城で相続問題にお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
このページの目次
1 遺言が無効になる場合とは?
(1)遺言は原則として尊重される
遺言は、遺言者の最終意思を尊重する制度です。
有効な遺言があれば、原則としてその内容どおりに遺産は承継されます。
しかし、一定の場合には遺言そのものが無効となります。
(2)方式違反による無効
遺言は「要式行為」です。
法律(民法960条以下)で定められた方式を守らなければなりません。
例えば、自筆証書遺言の場合、
- 全文自書
- 日付の自書
- 氏名の自書
- 押印
が必要です。
これらを欠く場合、遺言は無効となります。
(3)遺言能力の欠如(民法963条)
遺言作成時に遺言能力(事理弁識能力)がなければ、遺言は無効です。
典型例:
- 重度の認知症
- 意識障害
- 精神疾患による判断能力の欠如
もっとも、「認知症=直ちに無効」ではありません。
診断書、カルテ、介護記録、作成経緯などを総合的に判断します。
実務上、最も争いが多いのがこの「遺言能力」の問題です。
(4)その他の無効原因
- 公序良俗違反
- 詐欺・強迫
- 証人の欠格事由
- 受遺者の先死亡
- 民法総則による無効・取消事由
2 遺言無効確認の訴えとは?
遺言の有効性に争いがあり、話し合いで解決できない場合、最終的には遺言無効確認の訴え(民事訴訟)を提起します。
(1)まずは調停から
いきなり訴訟ではなく、
- 遺言無効確認調停
- 遺産分割調停
から開始することもあります。
しかし、当事者の主張が鋭く対立している場合は、訴訟による解決が必要になります。
(2)誰が原告になれるか?
遺言の無効を主張する者が原告になります。
「すでに生前贈与を受けており、法定相続分がない場合でも訴えられるのか?」
この点について、最高裁(最判昭56年9月11日)は、確認の利益は遺言内容で判断すれば足りるとして、原告適格を認めています。
したがって、生前贈与を受けていても原告になることは可能です。
(3)誰を被告にするべきか?
実務上重要なポイントです。
原則:
- 遺言により利益を受ける受遺者
が被告になります。
最高裁(最判昭56年9月11日)は、単なる相続分指定などの場合は固有必要的共同訴訟にはならない(共同相続人全員を被告とする必要はない)と判示しています。
もっとも、遺産確認を求める場合(最判平成元年3月28日)は、共同相続人全員を当事者とすべきとされています。
遺言内容により判断が分かれるため、専門的検討が不可欠です。
(4)遺言執行者を被告にできるか?
最高裁(最判昭31年9月18日)は、遺言執行者を被告として無効を争うことを認めています。
ただし、既に所有権移転登記がなされている場合は、受遺者を被告とすべきとされています(最判昭51年7月19日)。
(5)立証責任の分配
非常に重要なポイントです。
■ 遺言の方式遵守
→ 遺言が有効と主張する側が立証責任(最判昭62年10月8日)
■ 遺言能力の欠如など
→ 無効を主張する原告側が立証責任
遺言能力の立証では、
- 医療記録
- 介護記録
- 証人尋問
- 作成経緯
などを総合的に主張立証します。
3 遺言無効と遺留分侵害額請求の関係【最重要ポイント】
(1)必ず遺留分請求を並行して検討すべき理由
遺言無効確認訴訟は、長期化することが少なくありません。
しかし、遺留分侵害額請求には、「相続開始および侵害を知った時から1年」という短い消滅時効(民法1048条)があります。
訴訟中に時効が完成してしまうリスクがあるのです。
したがって、
✔ 遺言無効を争う
✔ 同時に遺留分侵害額請求の意思表示を行う
ことが極めて重要です。
実務では、内容証明郵便で通知するのが安全です。
(2)同一訴訟で予備的請求を入れるべきか?
理論上は可能ですが、実務上は推奨されません。
理由:
- 争点が複雑化する
- 訴訟が長期化する
- 裁判所の審理が混乱する
通常は、
① 遺言無効訴訟
② 必要に応じて遺留分訴訟
と段階的に進める方が合理的です。
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