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1 はじめに|「収入が減っていない=逸失利益なし」ではない
交通事故で後遺障害が残った場合、通常は「逸失利益(将来の収入減)」が問題となります。
しかし、実務では次のようなご相談が非常に多くあります。
- 「後遺障害があるのに給料は下がっていない」
- 「むしろ昇給しているが請求できるのか」
- 「有給で対応したので減収がない」
結論からいうと、減収がなくても逸失利益が認められるケースはあります。
本コラムでは、裁判例をもとに、
- 減収がない場合の考え方
- 逸失利益が認められるポイント
を弁護士が分かりやすく解説します。
2 事例|減収なしでも逸失利益が認められたケース
実際の裁判例(名古屋地裁平成22年7月2日判決)をもとに見てみましょう。
■事案の概要
- 自転車で横断歩道を走行中、左折車と衝突
- 被害者は国家公務員(国税調査官)
- 約1か月入院(有給休暇を使用)
- 後遺障害等級11級7号(脊柱の変形障害)認定
- 事故後も昇給・減収なし
■争点
👉 減収がない場合でも逸失利益は認められるのか
■裁判所の判断
裁判所は以下の点を重視しました。
- 腰痛などにより仕事の効率が低下
- 同僚より長時間残業して業務を維持
- 現在の収入維持は本人の努力による部分が大きい
- 将来的に昇進・昇給に影響が出る可能性
👉 その結果
「将来の不利益の可能性」を理由に逸失利益を肯定
3 逸失利益の考え方|差額説と労働能力喪失説
逸失利益の判断には大きく2つの考え方があります。
(1)差額説(実務の基本)
- 事故前後の収入差を損害と考える
- 減収がなければ原則として認めない
👉 現在の裁判実務ではこの考え方がベース
(2)労働能力喪失説
- 労働能力そのものの低下を損害と考える
- 収入減がなくても認める余地あり
👉 ただし最高裁は慎重な立場
■最高裁の基本的な立場
- 減収がなければ原則として損害なし
- ただし例外的に認められる場合あり
👉 「差額説が原則+例外的に柔軟判断」が実務です
4 減収がなくても逸失利益が認められるポイント(重要)
裁判所は、以下の事情を総合的に考慮します。
✔ 重要な判断要素
- 将来の昇進・昇給への影響
- 後遺障害と仕事内容の関係
- 配置転換の有無
- 退職・転職の可能性
- 勤務先の状況(安定性など)
- 本人の努力による収入維持
- 症状の継続・悪化の可能性
- 周囲の配慮に依存しているか
- 日常生活への支障
👉 特に重要なのは「無理して働いているかどうか」です。
5 実務のポイント|「見かけの収入」に注意
交通事故案件では、次のようなケースが非常に多く見られます。
- 有給休暇でカバー → 減収なし
- 残業で補填 → 収入維持
- 配慮により配置維持 → 表面上問題なし
しかし実際には、
👉 「隠れた労働能力低下」が存在していることが多い
そのため、
- 医師の意見書
- 業務内容の具体的影響
- 残業状況
などを丁寧に主張・立証することが重要です。
6 収入減が小さい場合でも満額認められることがある
実務では、
👉 「減収はあるが、等級に見合うほどではない」
というケースもあります。
このような場合でも、
- 職業の特性(立ち仕事・肉体労働など)
- 将来の悪化可能性
- 本人の努力
などを踏まえ、
👉 後遺障害等級どおりの労働能力喪失率が認められることもあります。
7 まとめ|減収がなくても諦める必要はない
本コラムのポイントは以下のとおりです。
- 減収がなくても逸失利益は認められる可能性あり
- 実務は「差額説が原則+例外的判断」
- 将来の不利益や努力による維持が重要な判断材料
- 適切な主張・証拠が結果を大きく左右する
👉 「収入が下がっていないから請求できない」と決めつけるのは危険です。
8 弁護士に相談すべき理由|適正な賠償額を得るために
後遺障害の逸失利益は、
- 保険会社が低く見積もることが多い
- 専門的な主張・立証が必要
という特徴があります。
結の杜総合法律事務所では、
- 後遺障害の等級認定サポート
- 逸失利益の適正な算定
- 保険会社との交渉・訴訟対応
を含め、交通事故案件を多数取り扱っております。
9 無料相談のご案内
- 初回相談で見通しを丁寧にご説明
- 費用体系も事前に明確化
- 無理な勧誘は一切なし
また、
👉 弁護士費用特約がある場合、自己負担なしでご相談可能です。
▼このような方は今すぐご相談ください
- 後遺障害があるが収入は減っていない
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宮城県仙台市に拠点を置く弁護士法人結の杜総合法律事務所は、2012年の開設以来、地域の皆様の法的ニーズに応えてまいりました。代表の髙橋和聖は、地元宮城で生まれ育ち、弁護士・税理士としての資格を持ち、法律と税務の両面からサポートを提供しています。当事務所は、青葉区五橋に本店、泉区泉中央に支店を構え、2022年10月には東京支店も開設しました。これからも、仙台・宮城の皆様に寄り添い、親しみやすい法律事務所として、質の高いサービスを提供してまいります。
