コラム「【破産・廃業時】未払賃金立替払制度とは?|要件・対象・手続を弁護士が解説」

会社が倒産して給料や退職金が支払われない
そのような状況で、労働者を救済する公的制度未払賃金立替払制度です。

本記事では、法人破産・廃業に直面した場合に問題となる未払賃金立替払制度の仕組み・利用要件・手続の流れを、弁護士がわかりやすく解説します。


未払賃金立替払制度とは【破産・廃業時の従業員救済制度】

未払賃金立替払制度とは、企業倒産により賃金や退職金が支払われないまま退職した労働者に対し、国が事業主に代わって未払賃金の一部を立替えて支払う制度です。

この制度は、

  • 「賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)」
  • 労働者健康安全機構

に基づき運用されています。


「解散・清算」と「倒産・廃業」の違いと制度の重要性

解散・清算の場合

会社が解散決議を行い清算する場合は、会社法に基づき官報公告・債権者への催告を行い、原則として公平に債務を弁済します。

倒産・廃業の場合

一方、破産や事実上の倒産では、

  • 資産がほとんど残っていない
  • 従業員に賃金・退職金を支払えない

というケースが多く、労働者が著しく不利になります。

👉 その救済制度として設けられているのが未払賃金立替払制度です。


対象となる「倒産」の種類【法律上・事実上】

未払賃金立替払制度は、次のいずれにも対応しています。

① 法律上の倒産

裁判所の決定・命令によるもの

  • 破産手続開始
  • 特別清算開始
  • 民事再生手続開始
  • 会社更生手続開始

② 事実上の倒産(中小企業)

  • 事業活動が停止
  • 再開の見込みがない
  • 賃金支払能力がない

※労働基準監督署長の「倒産認定」が必要です。


【最新データ】未払賃金立替払制度の利用状況(令和5年度)

  • 企業数:2,132件(前年比65.9%増)
  • 支給者数:24,300人(前年比71.1%増)
  • 立替払額:約86億円(前年比77.5%増)

👉 倒産件数の増加とともに利用が急増している制度です。


未払賃金立替払制度を利用するための要件

① 事業主の要件

次のすべてを満たす必要があります。

  • 労災保険の適用事業所であること
  • 1年以上事業活動を行っていたこと
  • 法律上または事実上の倒産に該当すること

② 対象となる労働者

  • 倒産手続申立日(または認定申請日)の6か月前~2年以内に退職していること
  • 労働基準法9条の「労働者」に該当すること

※代表取締役などの役員、同居親族のみの事業などは対象外です。


③ 対象となる未払賃金の範囲と上限額

立替払の対象は、『未払賃金総額の80%(年齢別上限あり)』です。

退職時年齢未払賃金総額の上限立替払上限額
30歳未満110万円88万円
45歳未満220万円176万円
45歳以上370万円296万円

※賞与・解雇予告手当などは対象外です。


④ 請求できる期間

  • 法律上の倒産:裁判所決定日の翌日から2年以内
  • 事実上の倒産:倒産認定日の翌日から2年以内

立替払請求の具体的な手続の流れ

【法律上の倒産の場合】

  1. 破産管財人などから「証明書」を取得
  2. 必要書類を添付
  3. 労働者健康安全機構へ提出

【事実上の倒産の場合】

  1. 労働基準監督署へ倒産認定申請
  2. 認定後、「確認通知書」を取得
  3. 必要書類を提出し請求

【重要】会社側(経営者)が注意すべきポイント

  • 破産・廃業の判断が遅れると
    👉 従業員の立替払利用に影響する場合あり
  • 書類不備により
    👉 支給が遅延・不支給となるケースも多数

👉 法人破産・廃業は、早期に専門家へ相談することが極めて重要です。


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