「父が亡くなり,遺産分割協議をしなくてはなりませんが,母が認知症で施設に入所しています。このような場合でも,遺産分割をすることは可能でしょうか。」
相続人の中に,認知症や精神障害などで判断能力が欠けている方がいる場合,その方を交えて遺産分割協議を行うことはできるのでしょうか。
答えは,「できません」。
遺産分割協議が成立するには相続人全員の合意が必要ですが,その内一人でも判断能力の欠けた方がいると,遺産分割協議は無効となるからです。
このような場合,まず家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て,それによって選任された成年後見人が,その相続人である被成年後見人(上記の例ではお母様)を代理して,他の相続人との間で遺産分割協議を行うことになります。
しかし,成年後見人が相続人以外の方(例えば弁護士や司法書士等)ではなく,相続人である場合,そのまま遺産分割協議を行うことは利益相反行為になってしまいます。
そこで,①成年後見監督人がいる場合には,同人が成年被後見人を代理し,②成年後見監督人がいない場合には,別途家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立て,その特別代理人が成年後見人を代理して,遺産分割協議を行うことになります。
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