コラム「私選弁護人と国選弁護人の違い」

 刑事事件において,「私選弁護人」「国選弁護人」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

 被疑者や被告人のために弁護活動を行う弁護士のことを「弁護人」と言いますが,「国選弁護人」も「私選弁護人」も,このような「弁護人」であることに変わりはありません。

 ただ,両者には以下のような違いがあります。

 

1 誰が選任するのか

私選弁護人の場合は,被疑者・被告人本人やその配偶者,兄弟姉妹,親などです。

他方,国選弁護人は裁判所(国)が選任します。

 

2 誰を選任するのか

私選弁護人の場合は,誰に依頼するかはもちろん自由に選ぶことができます。

他方,国選弁護人の場合は,裁判所が国選弁護人として登録された弁護士の中から選ぶことになるので,被疑者・被告人本人らが自由に決めることはできません。

 

3 選任する際の条件は何か

私選弁護人は,選任する弁護士との委任契約によります。

他方,国選弁護人は,貧困その他の事由により弁護人を選任できない場合(現金・預金等の合計が50万円未満のとき)に選任されます。

 

4 いつ選任できるのか

私選弁護人は,逮捕・勾留された場合や起訴された場合に限らず,任意で取調べを受けている段階からでも選任することができます。

他方,国選弁護人は,法定刑が死刑または無期もしくは長期3年を越える懲役もしくは禁固に当たる事件で勾留されている場合には,起訴前でも選任することができますが,それ以外に事件については,原則として起訴後に選任されることになります。

 

 以上の通り,私選弁護人,国選弁護人にはいくつか相違点はありますが,弁護人として有する権限や,行うべき弁護活動は同じです。

 ただ,十分な弁護活動を行うためには,早めに対応しておくことが必要かつ重要だと思われます。

 

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