Archive for the ‘コラム’ Category

コラム「建物賃貸借契約を解除して明渡しを請求したい」

2016-03-31

「家賃が何か月も支払われていない…」

「賃借人が無断で第三者に建物を貸してしまって困っている…」

などのような賃借人の債務不履行(契約違反)があった場合,建物賃貸借契約を解除して,建物を明け渡すよう請求することが考えられます。

 今回は,賃料不払いの場合と無断転貸の場合についてご説明いたします。

 

① 賃料不払いの場合

 この場合,賃貸借契約を解除するには,原則として,まずは相当の期間を定めて,その期間内に未払いとなっている賃料を支払うよう催告する必要があります。

 そして,その期間内に支払いがされない場合に,賃借人に対し,賃貸借契約を解除するとの意思表示をすることとなります。

 ただし,判例上,賃借人の側で,「賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊すると認めるに足りない事情があること」を立証した場合には,解除は認められないとされています。

 賃料不払いの場合,たった1回不払いがあっただけでは,まだ信頼関係が破壊されたとは言えず,解除は認められない可能性が高いでしょう。

 他方,何らの正当な理由もなく3か月以上の賃料を滞納する場合には,原則として信頼関係が破壊されたものと考えられ,解除が認められることが多いと思われます。

 なお,一定の場合には,催告をせずに賃貸借契約を解除すること(無催告解除)も認められます。

 

② 無断転貸の場合

 賃借人が無断で第三者に建物を貸して使用収益させている場合,賃貸人は,原則として賃貸借契約を催告することなく解除することができます(民法612条)。

 ただし,こちらも判例上,「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合」には解除は認められないこととされています。

 例えば,

 ・個人で営業活動を行っていた賃借人が法人成りし,かつ,その経営実態に変動がない場合

 ・建物を借りて経営を行っていたが,その経営主体が賃借人からその配偶者や子に移転した場合

などには,解除は認められないでしょう。

 

結の杜総合法律事務所では,賃貸借に関する事件解決にあたっての手続の流れや,実際にかかる料金等を事前に直接弁護士より丁寧にご説明させて頂いております。説明を聞き,ご納得された上でお申込み頂けます。また,無理な勧誘なども一切しておりません。

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コラム「労働審判とはどのような手続ですか?」

2016-02-27

労働審判とは,個々の労働者と事業主との間の労働関係に関する紛争(例えば,賃金の未払いなど)を,裁判所において,原則として3回以内の期日での解決を目指す手続きです。

この手続きでは,裁判官1名と,労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名の合計3名が,法廷ではなく,非公開の部屋で,当事者双方から言い分を聞いて,話し合いでの解決が可能であれば調停を試み,それが難しければ裁判所の審判によって判断が下されます。なお,この審判に対して不服がある場合には,2週間以内に異議の申立をすることができ,異議の申立があると,通常の訴訟に移行することとなります。

 

このように,労働審判ではまず話し合いでの解決が目的におかれますので,そもそも相手方が話し合いに応じる気がない場合は労働審判ではなく,初めから訴訟を行った方が良いということになります。また,労働審判は,原則3回以内で解決する手続きですから,内容が複雑・多岐にわたり,審理に長時間を要するものなども,不向きということになります。

労働審判を申し立てるべきかどうかは,弁護士とよく相談して決めるのがよいでしょう。

 

結の杜総合法律事務所では,労働審判の手続の流れや,利用の適否,実際にかかる料金等を事前に直接弁護士より丁寧にご説明させて頂いております。説明を聞き,ご納得された上でお申込み頂けます。また,無理な勧誘なども一切しておりません。
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コラム「【相続の話】遺留分とは?」

2015-11-12

「遺留分」(いりゅうぶん)とは,相続の場合に相続人が最低限相続できる,相続財産に対する取り分のことを言います。

 

民法では,法定相続人は一定の割合で相続財産を相続できるということが定められていますが(法定相続分),被相続人(亡くなられた方)は,例えば法定相続人の内1人に全ての財産を相続させるというような内容の遺言を作成するなどして,遺言により,法定相続分と異なる割合で相続財産を配分することができるのです。

 

では,仮に法定相続人の内1人に全ての財産を相続させるというような内容の遺言が作成されていた場合,他の法定相続人は一切相続財産を相続することができないのでしょうか。

いいえ,そういうわけではありません。

冒頭で述べた通り,民法では「遺留分」が認められておりますので,他の法定相続人は,全ての(あるいは法定相続分を超える)相続財産を取得した法定相続人に対して,「遺留分減殺請求」をすることにより,遺留分に当たる部分を渡すよう請求することが出来るのです(ただし,法定相続人であっても,被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められておりませんので,遺留分減殺請求はできません。)。

 

この場合,遺留分として請求できる割合も,民法に定められています。

例えば,被相続人Aには,法定相続人として配偶者B,子C及びDがいるというような場合,相続財産に対するBの遺留分は4分の1,C及びDの遺留分はそれぞれ8分の1ずつとなります。

 

また,遺留分減殺請求権は,相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年で消滅時効にかかってしまうので,こちらも注意が必要です。

 

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コラム「代金を支払わない相手の財産を仮に差し押さえる?」

2015-09-12

商品の売却先や,工事の発注者が代金を支払ってくれない場合,どのような対応をするのでしょうか?

 

まずは,相手方に対し内容証明郵便で未払いとなっている代金を請求して,交渉を試みることが多いと思います。

しかし,それでも相手方が支払わない場合,未払代金の支払を求めて,訴訟を提起することとなります。

ただ,裁判は通常,1か月に1回程度しかなく,判決が出されるまで少なくとも数か月を要します。

そのため,裁判を進めている間に,相手方の財産がなくなってしまい,勝訴判決を獲得しても差押える財産がなく,結局,未払代金を回収できないという事態にもなりかねません。

 

このような事態を避けるためには,「民事保全」の手続を利用することが考えられます(なお,これには大きく分けて「仮差押え」「仮処分」の2種類があります。)。

例えば,仮差押えは,相手方が別の取引先に対して有している売掛金請求権や工事代金請求権等を「仮に」差し押えて,財産を維持するための手続です。

 

これにより,相手方の財産は保全されるため,勝訴判決獲得後,その財産から未払金を回収することが可能となるのです。

 

※  なお,仮処分とは,例えば,賃貸借契約を解除して建物の明渡しを請求する場合,裁判中に賃借人が他の人を住まわせたりすると,その人を相手に別途裁判をしなければならなくなるので,それを防ぐために裁判の相手を固定したり,また,従業員が解雇の無効を争う場合に,従業員としての仮の地位があることの確認を求め,賃金を受け取りながら裁判を行うために利用する手続きです。

 

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コラム「勤務先や家族に秘密で自己破産できるってホント?」

2015-08-25

ご相談に来られる多くの方が、「破産すると周囲に知られてしまうのではないか」との不安を抱えておられます。

しかし、実際にはどうなのでしょうか。

 

破産手続は裁判所に申立をして行いますが、破産の手続きが始まると「官報かんぽう」に公告され、破産者の住所、氏名等が掲載されることとなります。

官報とは、あまりなじみがないかと思いますが、簡単に言えば、法律等の制定・改正の情報等が掲載される新聞のようなものです。

しかし、これは一般の書店では販売されておらず、官報を一般の方が見ることはほとんどありません。

そのため、官報に破産者の住所、氏名が掲載されたとしても、これによって周囲の人に破産の事実を知られるということはまずないと考えられます。

また、破産をしても、裁判所等から勤務先に連絡が行くということもないので、勤務先に知られることもありません。

さらに、ご家族が借金の保証人になっているような場合でなければ、ご家族にも内緒で破産をすることができます。

よく、破産をすると戸籍や住民票に破産者であることが記載されてしまい、そこからご家族に知られるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、これは誤解です。破産しても戸籍や住民票に記載されることはありません。

このように、実は、破産は周囲に秘密ですることができるのです。

 

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コラム「交通事故の示談で被害者が損をしてしまう?」

2015-03-04

『保険会社から送られてきた示談の提案に,そのまま同意しようとしていませんか?』

 

交通事故に遭うと,しばらくしてから保険会社より示談の提案書が送られてきます。

それには,治療費や慰謝料など分かり易い文言も記載されておりますが,逸失利益や休業損害,過失割合などのあまりなじみのない文言や計算式も記載されています。

それらしい計算式や文言が並んでいると,「そういうものか」と思って,安易に示談に応じてしまいがちですが,その前に,まずは弁護士に相談することをお勧めします。

 

というのも,保険会社より提案される金額は,最終的に裁判などで認められる金額よりも低いのが通常だからです。その場合,保険会社と交渉をすることによって,裁判などで認められる金額に近づけることができるのです。

 

また,一旦示談書にサインをし,示談してしまうと,これを取り消すことはできなくなってしまいます。

示談成立後に,保険会社に対して新たに主張したいことや追加で請求したい損害が生じたとしても,保険会社がこれに応じてくれることはありません。

 

そのため,保険会社から,示談の提案があったとしても,その内容,金額が妥当なのかどうかを判断するため,一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

 

 

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コラム「お金を請求できる権利は一定期間を過ぎると消滅する?」

2015-01-07

誰かにお金(例えば,売買代金,工事代金,貸付金)を請求できる権利を「債権」といいます。
このような債権は,いつまでも請求可能なのでしょうか。

 

実は,債権には「消滅時効」というものが存在します。
これは,債権を持っている者(これを「債権者」といいます)が,債権を行使しないまま一定期間を経過した場合に,その債権を消滅させる制度です。
この場合,相手に対して,もはや請求が出来なくなってしまうおそれがあります。
そのため,「いつまでも請求が可能」というわけではないのです。

 

では,どの程度の期間,権利を行使しない場合に,債権は消滅するのでしょうか。
「個人の債権は10年,会社の債権は5年」
と考えている方もいるかもしれませんが,一概にそうとは言えず,債権の種類,性質等によって異なるのです。
例えば,①医師や病院の診療報酬債権や,建築工事等の対価である請負代金債権の消滅時効は3年ですし,②製品や商品等の販売による売掛金債権,労働者の勤務先に対する給与債権の消滅時効は2年などと定められています。

 

「取引先や相手方からなかなか支払いがされない」という方がおりましたら,消滅時効にはくれぐれもご注意ください。

 
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コラム:「電話で費用の見積もりをしてもらえませんか?」

2014-09-24

「弁護士に相談してみたい。でも、費用が心配…。」

「費用を聞いてから、どうするか考えたい…」

 

費用のことが心配で、出来るだけ早く聞いて安心したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

申し訳ございませんが、結の杜総合法律事務所では以下の理由から、弁護士に直接会ってご相談いただいたときに費用のお話をさせていただいております。

一つは、顔を合わせてご相談者様のお話を十分にお聞きし、きちんと信頼していただいた上で、委任契約やお金の話などをさせていただきたいと考えているからです。

もう一つは、事案の処理にかかる費用を出来る限り正確にお伝えしたいからです。費用はそれぞれの事件の内容によって当ホームページ掲載の目安(上方の緑の帯右から2番目「弁護士費用」からご覧になれます)から増減します。ご相談者様のお話をよくお聞きすることでご相談いただく事件の内容を正確に把握し、出来る限り適切な費用の見通しをお伝えしたいと考えております。弁護士が、ご相談者様と直接お会いしてお話することは、事件の正確な把握に一役買ってくれると日々実感しております。

 

結の杜総合法律事務所では、実際にかかる料金等を事前に直接弁護士より丁寧にご説明させていただいております。説明を聞き、ご納得された上でお申し込みいただけます。また、無理な勧誘なども一切しておりません。

まずは、お気軽にご相談ください。

 

 

コラム:「法的トラブル解決のためには必ず弁護士に依頼しなくてはダメ?」

2014-08-13

「相談をしに行ったら必ず依頼しなくてはならないのだろうか…」

「相手に請求する金額が小さいから、弁護士費用の方が高くつきそう…」

「弁護士からアドバイスだけを聞いて、できるだけお金をかけず自分だけで解決する方法はないのだろうか…」

 

というようなお悩みはありませんか?

 

実は、弁護士に依頼しなくても、ご自身だけで対応可能な手続きもあります。

 

例えば、裁判所で行う調停や弁護士会で行うADR、日弁連交通事故相談センターが行う示談あっ旋手続等があります。

いずれも、中立的な立場にある、調停委員や弁護士が間に入り、当事者双方の言い分を聴き、話し合いでの解決を目指す手続です。

これらの手続は、基本的には「話し合い」によって行われるため、複雑かつ専門的な書面の提出や法律的な主張の応酬等は行われません。そのため、弁護士に依頼せずにご本人のみで行うことも十分可能であり、実際にもご本人だけで行っている方も相当数おられるようです。

 

ただし、事案の内容、複雑性、専門性等によっては、弁護士にご依頼された方がよい場合ももちろんあります。

 

結の杜総合法律事務所では、ご相談者様から十分にお話をお聞きした上で、弁護士への依頼の要否も含め、事案ごとに適した解決方法をご提案させていただきます。もちろん無理な勧誘はいたしません。

 

まずはお気軽にお問い合わせください。

 

コラム:「自動車運転処罰法」をご存知ですか?

2014-07-03

先日,東京・池袋の歩道に車が突っ込み,8人が死傷するという事件が発生しました。

報道によれば,この事件の容疑者の男は,運転前に「脱法ハーブ」を吸引していたとのことで,警察は,それが原因で運転が困難な状態になったとみて,その男を自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)容疑で送検したとのことです。

 

「自動車運転処罰法」(正式名称は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)

あまり聞きなれない方も多いと思いますが,この法律は,悪質で危険な運転者に対する厳罰化のため,従来刑法に定められていた危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪を移行,改正し,制定されたもので,平成26年5月20日より施行されました。

 

改正点はいくつかありますが,危険運転致死傷罪について言えば,従来の危険運転致死傷罪では,これまで飲酒運転や薬物の影響による悪質な運転で死傷事故を起こしても,「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」であることが要件とされ,その立証が困難であったことから,適用が見送られるケースがありました(この場合,自動車運転過失致死傷罪を適用)。

 

しかし,自動車運転処罰法では,これまでの危険運転致死傷罪に加え,新しい危険運転致死傷罪を設け,適用要件を「アルコール又は薬物の影響により,その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」と緩めて,処罰範囲を拡大しました。

また,この新しい危険運転致死傷罪は,最高刑が懲役7年だった従来の自動車運転過失致死傷罪に比べ,最高刑は懲役15年となっており,非常に重く処罰されることとなっています。

 

ここで述べたもの以外にも改正点はありますが,このような厳罰化が,悪質・危険な運転に対する抑止となることを願ってやみません。

 

 

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